「現金」の管理、できていますか?~黒字倒産をしないためにも~ - 岡山市の税理士事務所、朝日税理士法人岡山。相続税対策、遺産相続手続きから法人設立、確定申告まで税理士業務なら朝日税理士法人岡山にお任せ下さい。

信頼と実績の税理士事務所の朝日税理士法人岡山
当税理士事務所へ相続・税務・会計・経営のご相談は0120-533-033まで

「現金」の管理、できていますか?~黒字倒産をしないためにも~



黒字なのに倒産する?

事業活動の結果、どれだけ売上・利益が計上されているとしても、現金がない会社は、常に倒産の危機にさらされています。
この損益計算書上は黒字(利益は出ている)であるにも関わらず、倒産してしまう事を「黒字倒産」といいます。
実は倒産する企業の半数近くは、この黒字倒産だという話もあります。

黒字倒産が起こる理由

では、どうして黒字倒産は起きるのでしょうか。

一般的に倒産とは、「返済義務のある借金が返せなくなって会社の経営が行き詰まった状態」のことを言うと思います。
実はこの黒字倒産という現象は、会計上の収入・支出の考え方と、実際の現金の入金と出金とが一致しないことが原因で起こるのです。
通常であれば、「お金が出て行く = 支出」「お金が入ってくる = 収入」としたくなりますが、会計には様々なルールがあり、このように処理することが基本的にはできません。

(例) 卸売事業者の場合(3月末決算)

・売上の決済期日は、2ヶ月後の末日まで。(3月中の売上の入金は5月末まで)
・仕入の決済期日も、2ヶ月後の末日まで。(1月中の仕入の支払は3月末まで)

この事業者の場合、仕入た商品がすぐに売れれば、仕入と売上の決済期が同じになるので、きちんと利益を確保して売っている限りはこれだけで資金不足になることはありません。
しかし、仕入れた商品がすぐに売れないことも大いにあり得ます。(むしろそのほうが多いと思います。)

この事業者が、売上を見込んで1月中に大量に仕入をして、その見込み通りうまく事が運び、3月にはその大量の商品が売れたとします。
この場合、仕入代金の支払いは3月末まで、売上代金の入金は5月末となりますが、売上げの入金のほうが後なので、仕入代金を自己資金や借入で手当てしなければいけません
これが支払えなければ、いわゆる倒産状態となってしまいます。

この場合でも、売上が発生した3月末には、その売上と仕入を損益計算書に計上しなければいけません。
きちんと利益を確保して商品を販売をしている限り黒字決算となるはずです。
しかし、このように損益計算書上が黒字だったとしても、現金が手元になく仕入代金や経費の支払ができなければ「黒字倒産」となってしまうわけです。

上の例は少し極端な例かもしれませんが、実際に

「すぐに売れると思って大量に商品を仕入れて、在庫をたくさん持ったが、思ったほどは売れ行きがよくない。(もう少し時間があればすべて売れる自信はあるが(+_+))
しかし、この仕入代金の支払はすぐにしなければいけない。
でも、支払うための現金がない 😥
銀行も今後売れるかどうかわからない商品代金の支払いのためにお金を貸してくれない。」
(この仕入費用は、商品が販売できるまで、会計上は費用として計上されませんので赤字とはなっていない。)

というようなケースで倒産している企業もあります。

黒字倒産を起こさないようにするためには

では、どうすれば黒字倒産を防ぐことができるでしょうか?
その為には、実際のお金の流れであるキャッシュフローを正確に把握して、現金不足にならない経営努力を行うとともに、キャッシュが足りなくなることが予測される場合に備えて、あらかじめその対策を立てることが必要となります。

キャッシュフローの把握に役立つのが、キャッシュフロー計算書です。
倒産しないためには、損益計算書や貸借対照表よりも重要性が高い財務諸表です。
損益計算書の利益だけでは安心せず、キャッシュフロー計算書で実際のお金の動きを管理することが、黒字倒産を防ぐための重要なポイントとなります。

現金・預金管理の重要性

現金・預金の管理は、経営管理上の重要な要素であるだけでなく、不正のきっかけになりやすいという点から、税務上の視点からもその管理についてはしっかりとした仕組みづくりが求められます。

現預金の管理が不十分である会社は、黒字倒産の危機が高くなるだけでなく、所得隠し等の不正が起きる蓋然性が高くなります。

株式会社は、株主や金融機関などから資金を調達し、その資金を事業活動に投下することで利益を生み出し、更なる現金を得ることで、株主や従業員への還元を行うことを目的としています。
そのような円滑な事業活動を行うためには、(上にも書きましたが)手元にある現預金を正確に管理するだけでなく、今後の事業に必要な資金繰りを把握しておくことが必要であり、問題がある場合には資金調達方法を早めに検討することが重要となります。

また、現預金に関しては、横領、意図的な売上除外など、不正の温床になりやすい項目であり、税務の面からみても、管理体制に不備があるとみられる税務調査では、「不正が行われているのでは」との疑念を持たれやすくなります。
そのため、現預金の管理は会社にとって、内部統制上、非常に重要な業務プロセスであり、その管理体制を整備することは重要な責務と言えます。

例えば、次のような管理が行われていることが望まれます。

  1. 会社と個人の現金を明確に区分する
    これが一番問題になりやすいですが、公私混同を排除し、プライベートと事業の財布を厳格に区分する。
  2. 出納担当者と責任者を明確に決め、出納簿の作成・現金実査を行う
    社長以外の出納担当者を決め、現金の受払いは原則として出納担当者が行い、出納簿への記帳と金種表の作成を行い、現金出納簿上の残高と手許残高とが一致していることを日々確認する。
    また、責任者が帳簿の確認を行い定期的に現金実査を実施する。
  3. 社内精算はルールを定め、その支払は領収証または請求書に基づき行う
    社内精算のルールに基づき、上司などの承認を得た領収証や請求書などを基に精算を行う。
    また、立替払いをした後に精算を行うまでの期限等を明確に定める。
  4. 現金で支払う範囲・金額を決める
    現金での支払いは、継続的に発生する少額な取引に限定する。

現金・預金を巡る不正は、1人の者により行われるケースがほとんどです。
そこで、経営者としては、現金・預金管理は、担当者を1人に限定せず、必ず「担当者」と「責任者」をわけて、「担当者」が不正をしづらい体制にすることが、現預金管理の基本となります。
さらに、「出納担当者」と「記帳担当者」をわけて、「出納担当者」の不正時には現金・預金の実際在高と会計残高の不一致が生じるような体制とするとなおよいです。

また、現金の管理に限定したことではありませんが、実際に売上除外などの不正が社員によって行われた場合には、会社にとっても非常に大きな痛手となることが想定されます。
仮に従業員が不正を行っていた場合、不正による損失と不正を犯した社員からの損害賠償金請求権が損益上は両建てとなるため、当該損失は損失発生時の損金とはなりません。
未収となる損害賠償金も全額が回収できればよいですが、回収をあきらめてしまうことも多々あります。
その場合には、回収不能額を給与として処理しなければならないケースも想定されます。

さらに、不正を犯した者が役員等であった場合には、回収不能額が役員賞与と認定(損金不算入)されることも想定され、会社にとってはまさにダブルパンチ(法人では損金とならず、個人の所得税は加算される)の状況になります。
そして社員が犯した不正が税務調査で発見され、「法人の行為と同視すべき」と認定された場合には、重加算税の対象となってしまいます。

黒字倒産を防ぐため、また不正防止の観点からも、現金・預金の管理はしっかりと行ってほしいと思います。

当税理士事務所へのメールでのお問い合わせはこちら
お電話でのお問い合わせはこちら