「平成28年度税制改正大綱」~空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設~ - 

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「平成28年度税制改正大綱」~空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設~



自民党と公明党は、平成27年12月16日に「平成28年度税制改正大綱」を発表されました。

平成28年税制改正には、

  • 法人実効税率20%台の目標を前倒し実行
  • 外形標準課税の税率の見直し
  • 減価償却制度の見直し
  • 消費税の軽減税率制度の導入
  • 適格請求書等保存方式(インボイス制度)の導入
  • 企業が自治体に寄付をすれば税金が軽減される「企業版ふるさと納税」の導入
  • 空き家を売却した際の譲渡所得の特別控除の導入

などといった改正案が盛り込まれています。
そんな中で、個人的に面白いなと思ったことについて触れてみたいと思います。

「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」の創設

そもそも空き家問題とは?

総務省の統計によると、平成25年10月1日現在で空き家の数は820万戸、空き家率は13.5%に達しており、増加の一途をたどっています。
(因みに岡山県は、空き家率が全国ワースト9位で、15.4%となっています。)
ほとんど管理されていない状態で空き家が放置されると、建物の倒壊や火災等の危険、その他衛生上、景観上等のさまざまな問題が発生します。

こういった背景から、空き家問題を解決する後押しをするためか、この「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が創設されたようです。

また、平成27年度税制改正では、一定の空き家の敷地の場合には固定資産税の減額措置が受けれないという改正もされています。
詳しくは、「空き家を放置すると固定資産税が6倍に!?」をご覧ください。

概要

現行制度でも、自分が住んでいるマイホーム(居住用財産)を売ったときは、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。
しかし、相続で取得した家屋の場合、自分は既に別の場所に住んでいて相続だけしたという方も多く、空き家の数がどんどん増えていっているようです。
(個人住宅が空き家になった理由の50%超が、「相続」による取得の為と言われています。)
そういった空き家等の場合は、この3,000万円の特別控除が適用できないため、税金がかかるくらいならと放置しているといった方も多くいると思います。

そこで、この特別控除の枠を相続した空き家にまで適用可能にする為、この特例が創設されたのではないかと思います。

この特例の概要としては、

相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住用家屋を相続した相続人が、その家屋(耐震性のない場合は耐震リフォーム後のものに限り、その敷地を含む。)または除却後の土地を譲渡した場合には、その家屋又は除却後の土地の譲渡益から3,000万円を控除することができる。

といったものになります。

要件

具体的な要件は、以下のようになります。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(マンションなどの区分所有建築物を除く)であること。
  • 相続開始の直前において、被相続人の居住用であり、被相続人以外に居住をしていた者がいなかったこと。
  • 相続時から相続開始日以後3年を経過する日の属する12月31日までに譲渡すること。
  • 被相続人の居住用家屋の譲渡または被相続人の居住用家屋及びその敷地の譲渡(※1)
    または、被相続人の居住用家屋を除去した後におけるその敷地の譲渡(※2)であること。
    (※1)相続発生時から譲渡時まで、事業の用・貸付の用または居住の用に供されていたことがなく、譲渡時において地震に対する安全性に係る基準等に適合するものに限る。
    (※2)家屋は相続発生時から除却時まで、敷地は相続発生時から譲渡時まで、事業の用、貸付の用又は居住の用に供されていたことがないものに限る。
  • 家屋または土地等の譲渡の対価の合計額が1億円を超えないこと。
  • 平成28年4月1日から平成31年3月31日までの間の譲渡であること。

留意点

この特例を適用する場合、

  • 相続財産に係る譲渡所得税の課税の特例(取得費加算の特例)と、この特別控除とは選択適用となる
  • 地方公共団体の長等が上記(※1)又は(※2)の要件を満たすことの確認をした旨を証する書類を添付しなければいけない

といった留意点がありますので、ご注意ください。

まとめ

空き家対策は、固定資産税や撤去などで国を挙げてのプロジェクトで、今回はその一環と思われます。
空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」が創設され、相続した被相続人の居住用家屋を売却しやすくなり、空き家問題が少しでも解消されると良いですね。

なお、この記事は、平成28年度税制改正大綱の内容からこの空き家税制について解説しています。
正式に適用される法律に関しては、今後の国会審議などにより決定されるものですので、この内容が修正される可能性がありますことにご留意ください。

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