相続に関する手続き
相続が発生すると、関係各所への連絡から役所・金融機関などの手続き、葬儀に関する決め事など、済ませなければならない手続きが大量に出てきます。
葬儀費用について
葬儀費用は基本的に相続人が支払いますが、葬儀にかかった費用は負担者(相続人)にとって相続税上は債務控除の対象となります。ただし、香典返戻費や仏具代は債務控除の対象となりませんので注意が必要です。法人の支出する社葬費用は社会通念上妥当であれば損金算入する事ができます。
葬儀費用となるもの(債務控除の対象となる) | 葬儀費用に含まれないもの(債務控除の対象とならない) |
---|---|
本葬費用・通夜費用 | 香典返戻費用 |
僧侶・寺院へのお布施 | 墓地整備買入れ費用 |
葬儀会場費用 | 仏具代 |
通夜の飲食代 | 初七日・四十九日法要費用 |
遺体運搬費用 | 遺体解剖費用 |
香典は個人が喪主として受け取る場合は、非課税となります。社葬で法人が受け取る場合は、利益金として課税対象となります(ただし、社葬の場合でも、個人が受け取れば、非課税となります)。香典や霊前は、個人葬の時は、一般的に葬儀を出す家庭の経済的負担を軽くするために贈られるものです。こうした収入は葬儀費用にあてられることも多いので、税務上、相続税や贈与税、所得税などの課税対象から除かれます。
預貯金について
相続が発生すると、不動産や有価証券と同じように預貯金においても金融機関が本人の死亡を知ったときに保全のため口座を凍結します。この時点で、他者による引き出しができなくなりますので、借入金やクレジットの引き落とし口座などは相続人全員の同意書を作成して凍結を解除したり、相続人代表口座を作る必要があります。
社会保険の手続き
健康保険、国民健康保険、厚生年金、国民年金、共済組合といった社会保険の手続きは、それぞれによって窓口や期限が異なります。
健康保険
必要な手続き | 窓口 | 期限 | ||
---|---|---|---|---|
資格 | 被相続人 | 資格喪失の手続き | A | 5日以内 |
遺族 | 被扶養者は国民健康保険に加入 | B | 14日以内 | |
ほかの親族の被扶養者となる(※年収130万円未満) | A・E | 直ちに | ||
給付 | 埋葬料・埋葬費・家族埋葬料 | A | 2年以内 |
※60歳以上の場合は180万円未満
国民健康保険
必要な手続き | 窓口 | 期限 | ||
---|---|---|---|---|
資格 | 被相続人 | 資格喪失の手続き | B | 14日以内 |
遺族 | 被扶養者は国民健康保険に加入 | B | 14日以内 | |
給付 | 葬祭費 | B | 2年以内 |
厚生年金
必要な手続き | 窓口 | 期限 | ||
---|---|---|---|---|
資格 | 被相続人 | 資格喪失の手続き | A | 5日以内 |
遺族 | 被扶養配偶者は国民年金の種別変更 | C | 14日以内 | |
給付 | 遺族厚生年金 | D | 2年以内 |
国民年金
必要な手続き | 窓口 | 期限 | ||
---|---|---|---|---|
資格 | 被相続人 | 資格喪失の手続き | C | 14日以内 |
遺族 | 国民年金にそのまま加入 | – | – | |
給付 | 遺族基礎年金・死亡一時金・寡婦年金 | C | 5年以内 |
共済組合 短期給付
必要な手続き | 窓口 | 期限 | ||
---|---|---|---|---|
資格 | 被相続人 | 資格喪失の手続き | E | 10日以内 |
遺族 | 被扶養者は国民健康保険に加入 | B | 14日以内 | |
ほかの親族の被扶養者となる(※年収130万円未満) | A・E | 直ちに | ||
給付 | 埋葬料・家族埋葬料 | A | 2年以内 |
共済組合 長期給付
必要な手続き | 窓口 | 期限 | ||
---|---|---|---|---|
資格 | 被相続人 | 資格喪失の手続き | E | 10日以内 |
遺族 | 被扶養配偶者は国民年金の種別変更(第3号→第1号) | C | 14日以内 | |
給付 | 遺族共済年金 | F | 5年以内 |
- A.事業主を通じて社会保険事務所又は健康保険組合
- B.住所地の市区町村の役所の国民健康保険係
- C.住所地の市区町村の役所の国民年金係
- D.事業所を管掌する社会保険事務所
- E.学校及び事業体を通じて共済組合
- F.共済組合
準確定申告について
故人が「個人事業を営んでいた場合」「不動産を賃貸していた場合」「不動産の譲渡所得がある場合」「会社の役員や従業員であったが、会社側が死亡時点までの年末調整を行わなかった場合」は、相続人は相続の開始日から4か月以内に準確定申告書を提出し、所得税を納付しなければなりません。
本来は翌年3月15日までに確定申告すべきところが、死亡から4か月以内におこなわなければならないということを覚えておきましょう。
朝日税理士法人岡山では、これらの相続に関する手続きのお手伝いを承っております。多くの書類への記入や窓口でのお手続きなど、こんがらがってしまうような手続きでも、迅速かつ丁寧にサポートいたします。
また、節税につながるポイントのアドバイスなども合わせておこないますので、ご家族・ご遺族・相続人様にとってより良い相続となるよう、尽力いたします。まずは下記お問合せ先までお気軽にご連絡ください。