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節税といえば生命保険?



あなたは生命保険に加入されていますか?
生命保険文化センターの調査によりますと、個人では約80%の方が加入されているようです。
私自身も以前は加入していました。
ただ、以前に生命保険を見直すにあたって、「そもそも生命保険に加入しなくても良いのでは?」という考えが浮かびました。
なぜかと申しますと、生命保険に加入しなくても、ある程度は公的保険で治療費を払うことができるためです。
そもそも病気にかかるのかどうか分かりませんし、どれ程治療費がかかるかも分かりません。
生命保険に貯蓄性を求めていない場合は、もうギャンブルみたいなものです。
とは言っても、病気にかかればお金は貰えても辛い思いをしますので、ギャンブルのような楽しさはありませんけどね・・・

生命保険のメリット

個人で加入した場合の生命保険は上記のように悩ましい問題がありますが、会社にとっては節税対策として昔から利用されてきました。
会社が生命保険を利用する場合は、明白なメリットが2つあります。

1、税金の繰り延べ効果
生命保険の保険料を損金として落とすことにより、当期の課税所得を減らします。
その数年後、生命保険を解約することにより、解約返戻金が益金になり、将来の課税所得が増えるという仕組みです。
通常は「解約返戻金<払込保険料」ですので、キャッシュ的に損するのは事実です。
ただし、課税所得を将来に持ち越すことにより、将来の損金とぶつけて、減らせる可能性が増えます。
この将来の損金によく利用されるのが、役員退職金です。

2、簿外資産の形成
あなたは貯金するのが得意な方ですか?
私は貧乏性なので、貯金をするのは得意です。
ですが中には、お金があればあるだけ使ってしまう・・・という方もいらっしゃいますよね。
「あ、俺のことだ!」
ともし思われたら、どうかよく覚えておいてください。
上で、保険料を支払うけれど、将来解約することによりお金が戻ってくるという話をしました。
これが簿外資産の形成です。
強制的に貯蓄ができます。
保険料を支払うということは、貸借対照表上はキャッシュがなくなりますが、解約返戻金で再度戻ってきます。
貸借対照表に載っていないキャッシュは利用することができませんので、「外部に使えないお金を預けている」ということです。
貯金のように、引き出して使うことはできません。
給与天引きされる財形貯蓄のようなイメージです。

さて、確かにメリットはある生命保険ですが、実は非常に奥が深く複雑です。
もちろん、すべての生命保険が該当するわけではありません。
保険の種類もさまざまで、税法上も細かく規定が設けられています。
従来より節税スキームとして使用されていたこともあり、会社が得ばかりしないよう厳しく対策もされているのです。
もし検討してみようと思われた際は、あなたの会社の財産状況や税法をよく理解している方に相談されることをお勧めします。
なぜかと言うと、生命保険を利用した節税方法は、長期的に考える必要があるからです。

法人名義で生命保険の加入を勧められたので加入してみたところ、担当者が辞めてしまって、その後どうすれば良いのか分からない・・・
業績が良く、このままでは税金を多く払わなければいけない、という状況で生命保険に加入してみたものの、翌期以降の支払いができるだけの財産状況ではなかった・・・
やむを得ず解約したら、解約返戻金が少なくて、生命保険なんて入らなければよかった・・・

というようなことにならないとも限りません。
もちろん、業績の良い状況が継続的であれば財産状況は良くなります。
ただ、会社には過去も未来もありますので、短絡的名で視点考えず、長期的な視点を持ち財産状況を踏まえたうえで、利用するかしないかを判断することが必要です。

さてさて、ここまで「節税」を主な目的として話を進めてきました。
では「節税」する目的っていったい何でしょうか。
「そんなの、税金を少なくしたいからに決まっているじゃないか」
と言われてしまいそうです。
どうして支払う税金を少なくしたいのでしょうか?
「国なんかに金は払わん!」と言う方もいるかもしれませんが、大抵の方は会社からのキャッシュアウト(お金が出ていくこと)を少なくするため、という理由ではないでしょうか。

節税したらお金は増える?減る?

キャッシュに限って考えると、節税しない方がキャッシュは残る場合もあります。
節税には以下の2種類があります。

・キャッシュアウトを伴わない節税
・キャッシュアウトを伴う節税

キャッシュアウトを伴わない節税とは、例えば、期末に固定資産や棚卸資産を見直して、除却損や評価損を計上させる場合です。
これらの会計処理を行ったからといって、会社からキャッシュは出て行きません。
そして、これらの損失を損金として落とせるのであれば、税金は安くなり節税になります。

一方、後者の節税というのは、キャッシュアウトを伴う経費を増やすことです。
上でお話しした保険料はもちろん、飲食費や消耗品の購入を増やせば、損金として認められますので税金は安くなります(飲食費は会社により制限があります)。
「今年は利益が出ているから、今期中に経費を使おう」
なんて、あなたも思っていませんか?
確かに、必要な経費であれば、早めに使った方が課税所得を引き下げる効果があるので、理にかなっています。
ですがもし、必要のない経費を使った場合、節税どころか逆効果になります。

経費を使わない方がキャッシュは残る

具体例を考えてみましょう。
キャッシュが600万、税引前利益が500万の会社があります。
税率を仮に30%とすると、このままであれば500万×30%=150万の税額になります。

一方、税金を払いたくないので、少額飲食費を200万支出したとします。
そうすると(500-200)×30%=90万の税額になります。
確かに税額は60万減って節税になりました。

ではキャッシュはどのように変化するでしょうか?
飲食費を使わなかった場合:600-150=450万
飲食費を使った場合:600-200-90=310万
この差額140万は、少額飲食費を利用したことによる影響です。

もちろん、少額飲食費が必要経費であるなら利用して良いと思います。
ですが、そもそもの目的が、税金を少なくすることによりキャッシュを多めに残しておきたい、ということであればいかがでしょうか・・・
上のように、単純に「キャッシュを手元に残しておきたい」という理由だけであれば、素直に税金を納めた方が得策です
一方、将来的に利用すべき経費等があるなら、税金的にもお得になりますし、経費の効果が出るタイミングも早くなるので、早めに利用する方が得策ですよね。
節税対策は、あなたが何のために行うのか?ということをよく考えてから行う、ということが大切です。

保険や節税のことなら、朝日税理士法人までお気軽にご相談ください。

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