消費税率の引上げに際し、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するため、特定事業者(買手)による消費税の転嫁拒否等の行為を迅速かつ効果的に是正することなどを目的として「消費税転嫁対策特別措置法」(平成30年9月30日まで)が施行されております。
この特定事業者に対し商品を納品したりサービスを提供する事業者を、特定供給事業者といいます。
また、公正取引員会や事業を所轄する省庁にも調査・指導を行う権限を持たせており、転嫁拒否等の行為に対する検査・指導等として以下のことが行われています。
指導内容としては以下のようなものがあります。
この消費税転嫁対策特別措置法により
といった行為が禁止されています。
また、このほかに特定供給事業者(売手)が公正取引委員会等に転嫁拒否等の行為に該当する事実を知らせたことを理由として、取引数量削減、取引停止、その他不利益な取り扱いをする「報復行為」も禁止されています。
なお、違反行為の概要及び公正取引委員会による勧告・公表は公正取引委員会のホームページより閲覧することが可能となっていますが、公表されている違反事実の概要はそのほとんどが「買いたたき」に該当するもののようです。
特定事業者(買手)が特定供給事業者(売手)から供給を受ける商品又は役務の対価について合理的な理由なく通常支払われる対価よりも低く定める行為を言います。
その具体的な事例として、賃借料について消費税を含む金額で契約していた賃貸人に対して、平成26年4月以降の賃借料を消費税率引上げ前の賃借料と同額を支払った場合、消費税の免税事業者である取引先に対して免税事業者であることを理由として消費税率引上げ前の対価に消費税率引上げ分を上乗せした額よりも低い対価を設定した場合などがあげられます。
実際の取引現場としては消費税転嫁や転嫁拒否されたことを通報することは難しいかもしれません。
しかし、公正取引委員会などは違反行為に対して是正のための指導・助言、悪質な行為については勧告と社名の公表を行っており、政府としては転嫁拒否等をきちんと是正する姿勢は示されているようです。