新聞等でご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、政府・与党は「遺言控除」という新制度について検討しています。
簡単にいうと「遺言書を残している方は相続税を少し安くするよ」っていう制度です。
今の段階では、検討中ですので成立した制度ではありませんが、現行の基礎控除である「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に数百万程度上乗せする形で検討されています。
今回はその遺言の種類について触れてみたいと思います。
自筆証書遺言とは、遺言者お一人だけでも作ることができる、最も簡単な遺言書です。
遺言者が、自書で遺言の全部を自分で書いて作成し、日付・氏名を自分で記載し、押印をして、遺言者自身で保管・管理するものです。
(自筆とある通り、ワープロやパソコンを使って作成したものは無効となります。)
皆さんがイメージしやすい最も身近な遺言書が、この「自筆証書遺言」ではないでしょうか?
遺言者と証人2人以上の立会いのもと、公証人役場へ行き、遺言者が口述した内容を公証人が筆記し作成していくものです。
(※公証人にその場で遺言の趣旨を伝えるのが難しいという場合は、あらかじめ公証人に対して書面で遺言の趣旨を伝えることもできます。)
証人についてですが、未成年者や利害関係のからむ人は証人になれません。
なお、民法では次の方は遺言の証人または立会人になれないと定めています。
利害関係のからむ人は証人になれませんので、ある程度第三者的な立場の人間が証人にならないといけません。
ちなみに、証人となるべき者がいない場合は、公証役場で証人の手配もしてもらえるようです。
自分の回りに証人になる適当な知り合いが見当たらない場合、また証人を頼んで後に気を使いたくない場合などに利用されています。
遺言書の保管については、原本は公証人役場で行われ、遺言者には正本と謄本が交付されます。
費用については、岡山公証センターのホームページに掲載されております。
秘密証書遺言を作る際は、署名以外は、遺言者の自筆でなくてもよく、代筆・パソコンでも可能です。
最後に、自筆証書遺言と同じように、押印をしますが、遺言の中に日付を記載する必要はありません。
遺言者が署名押印した上で、封じ目に印を押して封印します。
この封印に使う印鑑は、遺言書に押した印鑑と同じものでなくてはなりません。
次に、公証人役場で証人2人以上に封をした遺言書が、提出した人の遺言であることを確認してもらいます。
(とは言っても、公証人等が遺言の中身を見るわけではありません。)
そして、公証人と証人に署名押印してもらいます。
保管は、遺言者がご自身で保管します。
遺言を残そうと思われる方は、その目的があると思います。
ですので、効果が不十分な可能性がある自筆証書遺言・秘密証書遺言ではなく、我々、税理士法人としては、より確実な公正証書遺言をお勧めいたします。
最近よく耳にする遺言信託は公正証書遺言ですね。
ちなみに、遺言に従いたくない場合もあるかもしれません。
そんな場合でも、遺言がある場合は、その遺言が遺産分割において優先されます。
(そのための遺言なのですから当たり前ですね。)
しかし、相続人全員の同意があれば、遺言内容と異なった協議が実務的にはできます。
遺言で財産をもらえる受遺者が同意してくれるかがポイントになるわけですね。
また、遺言執行人が指定されている場合は、執行人は相続財産の管理処分について絶対的な権限を持っていますので、あらかじめ遺言執行人の了解を得ておくことも必要になります。
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