中小企業等経営強化法に基づく「経営力向上計画」と中小企業経営強化税制
経営力向上計画の認定件数は、平成29年2月28日現在で16,146件に上り、うち地域別ではやはり関東・近畿・中部が多いのですが、当法人が主たる事務所を置く岡山県は294件、業種別では製造業が12,158件と圧倒的に多い状況です。
経営力向上計画の認定を受けた中小事業者は、平成28年7月1日から31年3月31日までの期間内に同計画に基づき取得した一定の機械装置について、固定資産税の軽減措置を受けることができます。
平成29年度税制改正では、この固定資産税の軽減措置の対象設備を機械装置のみから地域・業種を限定した上で器具備品、工具、建物付属設備等に拡充するほか、中小企業投資促進税制の上乗せ措置(生産性向上設備等に係る即時償却等)を改組して新たに創設される「中小企業経営強化税制」においても同計画の認定が必要となります。
以下、私が着目した、29年度税制改正の概要(一部)をご紹介します。
1.固定資産税の軽減措置の対象設備の拡充
機械装置は従来通り、全地域・全業種が対象となりますが、追加される設備(器具備品、工具、建物付属設備)は、次の地域・業種が対象となります。
①最低賃金が全国平均未満の地域→全ての業種が対象
②最低賃金が全国平均以上の地域→労働生産性が全国平均未満の業種が対象
平成28年度地域別最低賃金によると、7都府県(東京・神奈川・千葉・埼玉・愛知・大阪・京都)の最低賃金が全国平均(823円)以上
2.中小企業経営強化税制
中小企業投資促進税制の上乗せ措置の場合より対象設備、指定事業が拡大するため、中小企業投資促進税制を適用できない場合でも同税制の適用が可能となり得ます。
税制措置の適用を受けるための基本的な手続・流れは、生産性向上設備(改組前のA類型)、収益力強化設備(改組前のB類型)ごとに、次の通りです。
【生産性向上設備(A類型)】※固定資産税の軽減措置の対象設備も同様
①工業会等から証明書を入手
②「経営力向上計画」の申請・認定
③設備の取得・事業供用
④市町村・所轄税務署への税務申告
【収益力強化設備(B類型)】
①税理士等による投資計画の事前確認
②経済産業局による投資計画の確認
③「経営力向上計画」の申請・認定
④設備の取得・事業供用
⑤所轄税務署への税務申告
なお、経営力向上計画に係る認定申請書の新様式(平成29年3月15日以降申請分から使用)は、固定資産税の軽減措置、A類型、B類型で共通です。
平成29年4月1日以降は、法人税の特例措置と固定資産税の軽減措置との重複適用が受けられるケースも生じるため、お見逃しなく!!
詳細は中小企業庁のHPを御覧ください。
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2017/170315kyoka.htm
oka