小規模企業共済制度 その2



「小規模企業共済制度」について、過去ブログで取りあげました。
この制度は、節税しながら、退職金を作れる魅力的な制度です。
今回は共済金の受け取りに重点をおいて見ていきましょう。

制度の概要のおさらい

①加入資格としては、「小規模企業共済制度」には、個人事業主の多くの方が加入することができるようになっています。加入できる方は、常時使用する従業員が20人以下の個人事業主やその経営に携わる共同経営者、会社等の役員、一定規模以下の企業組合、協業組合、農事組合法人の役員です。
商業とサービス業(宿泊業、娯楽業を除く)では常時使用する従業員が5人以下の個人事業主等、以下同じです。

②経営者の方が退職後の生活の安定や事業の再建を図るための資金を準備する手段として多くの方が利用されています。
「小規模企業共済制度」は、小規模企業共済法に基づき、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。
小規模企業共済制度は、次のような場合の生活資金等をあらかじめ積み立てておくための共済制度です。
・個人事業をやめられた時
・会社等の役員を退職した時
・個人事業の廃業などにより協同経営者を退任した時

個人事業を廃業したり、会社等の役員を退任した場合などに、事由に応じて共済金(解約手当金)が支払われます。

③掛金月額は、1,000円から7万円までの範囲で自由に選ぶことができ、500円刻みとなっています。掛金の払込方法は、月払い・半年払い・年払いから選択できます。
そして、大きなメリットとして、掛金は税法上、全額が「小規模企業共済等掛金控除」として課税対象となる所得から控除されるということがあります。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1135.htm
④共済契約者は、払い込んだ掛金合計額の範囲内で、事業資金などの貸付け(担保・保証人不要)が受けられます。

※以下、中小企業基盤整備機構ホームページより抜粋

共済金等を受け取れる場合

(1)個人事業主の場合

共済金等の種類 請求事由
共済金A ・個人事業を廃業した場合
・配偶者・子以外に個人事業の全部を譲渡した場合
・平成28年4月1日以降に、配偶者・子に個人事業の全部を譲渡した場合
・共済契約者の方が亡くなられた場合
・全額金銭出資により個人事業を法人成りした場合(※1)
共済金B ・老齢給付(65歳以上で180ヶ月以上掛金を払い込んだ方)
準共済金 ・平成28年3月31日以前に、配偶者・子に個人事業の全部を譲渡した場合
・個人事業を法人成りして、その法人の役員にならなかった場合(※2)
・金銭以外の出資により個人事業を法人成りして、その法人の役員にならなかった場合(※1)
解約手当金 ・任意解約
・機構解約(掛金を12ヶ月以上滞納した場合)
・個人事業を法人成りして、その法人の役員になった場合(※2)(※3)
・金銭以外の出資により個人事業を法人成りして、その法人の役員になった場合(※1)(※3)
※1
平成22年12月末以前に加入(平成23年1月以降に請求事由が発生して掛金納付月数の通算手続きを行った場合を除く)した共済契約者に限ります。
※2
平成23年1月以降に加入(平成23年1月以降に請求事由が発生して掛金納付月数の通算手続きを行った場合も含む)した共済契約者に限ります。
※3
法人成りした法人が小規模企業者でない場合は、準共済金となります。

(2)法人(会社など)の役員の場合

共済金等の種類 請求事由
共済金A ・法人が解散した場合
共済金B ・(退任日 平成28年3月31日以前) 病気や怪我のため役員を退任した
・(退任日 平成28年4月1日以降) 満65歳以上、または病気や怪我のため役員を退任した
・共済契約者の方が亡くなられた場合
・老齢給付(65歳以上で180ヶ月以上掛金を払い込んだ方)
準共済金 ・(退任日 平成28年3月31日以前) 法人の解散、病気や怪我以外の理由で役員を退任した
・(退任日 平成28年4月1日以降) 満65歳未満の方が、法人の解散、病気や怪我以外の理由で役員を退任した
解約手当金 ・任意解約
・機構解約(掛金を12ヶ月以上滞納した場合)

(3)共同経営者の場合

共済金等の種類 請求事由
共済金A ・個人事業主の廃業に伴い、共同経営者を退任した場合
・個人事業主が事業の全部を譲渡したことに伴い、共同経営者を退任した場合
・病気や怪我により共同経営者を退任した場合
・平成28年4月1日以降に、個人事業主が配偶者・子に事業の全部を譲渡したことに伴い、共同経営者が配偶者・子にその地位を譲渡した場合
・共済契約者の方が亡くなられた場合
共済金B ・老齢給付(65歳以上で180ヶ月以上掛金を払い込んだ方)
準共済金 ・平成28年3月31日以前に、個人事業主が配偶者・子に事業の全部を譲渡したことに伴い、共同経営者が配偶者・子にその地位を譲渡した場合
・個人事業主が事業を法人成りして、その法人の役員にならなかった場合
解約手当金 ・共同経営者の任意退任による解約(※1)
・任意解約
・機構解約(掛金を12ヶ月以上滞納した場合)
・個人事業主が事業を法人成りして、その法人の役員になった場合(※2)
※1
留学、転職、独立開業、のれん分けなどで共同経営者を退任した場合も、任意退任扱いとなります。
※2
法人成りした法人が小規模企業者でない場合は、準共済金となります。

共済金の額の算定方法

 

(共済金等の額) = (基本共済金) + (付加共済金)

共済金または準共済金の額は、基本共済金と付加共済金の合計金額(「二階建て方式」)となります。

  • 基本共済金とは 掛金月額、掛金納付月数に応じて、共済事由ごとに小規模企業共済法施行令(政令)の別表において規定される金額です。
  • 付加共済金とは 毎年度の運用収入等に応じて、経済産業大臣が毎年度定める率により算定される金額です。

 

「予定利率」および給付水準の体系本制度では、受け取る共済金や解約手当金の額を、小規模企業共済法に基づき同法施行令(政令)の別表により定めております。本制度は、お預かりした掛金を原資に一定の運用収入を見込んで共済金や解約手当金の額を設定しており、この運用収入の見込みを算出する際の利回りを「予定利率」といいます。本制度の「予定利率」は、0%となっています。共済金、準共済金および解約手当金の給付水準の体系は、相互扶助の精神に基づき、事業をやめたとき等にお受け取りいただく共済金の額を高めに設定し、任意性の高い解約手当金等の額を低めに設定しています。

≪基本共済金(一階部分)の額の算定≫

基本共済金の額は、共済事由および掛金納付月数ごとに掛金月額500円(1口)あたりの額が、小規模企業共済法施行令で定められています。 例えば、掛金月額1万円の場合、加入から60ヶ月目における共済金の額は、政令別表の掛金納付月数60月の欄に示された、共済事由ごとの共済金の額の20口(1万円÷500円=20口)に相当する額となります(A共済事由、政令別表:31,070円×20口=621,400円)。途中で掛金月額を増額している場合の共済金の額は、増額前の掛金月額による掛金納付月数と、増額部分の掛金納付月数について、それぞれ計算を行い、それらを合計した額となります。また途中で減額をしている場合も、それぞれの掛金月額による掛金納付月数について計算を行い、それらを合計した額となります。

◆基本共済金の額

(例)掛金月額1万円で、平成16年4月以降に加入した場合

掛金納付月数 掛金残高 共済金A 共済金B 準共済金
5年 600,000円 621,400円 614,600円 600,000円
10年 1,200,000円 1,290,600円 1,260,800円 1,200,000円
15年 1,800,000円 2,011,000円 1,940,400円 1,800,000円
20年 2,400,000円 2,786,400円 2,658,800円 2,419,500円
30年 3,600,000円 4,348,000円 4,211,800円 3,832,740円
掛金区分 共済金A
掛金月額 掛金納付 月数 掛金納付 合計額 政令別表 金額 (1口 500円) 掛金区分ごとの 基本共済金 (別表の金額×口数)
(a)10,000円 (500円×20口) 180ヶ月 1,800,000円 100,550円 (A) 2,011,000円 (A)×20口
(b)20,000円 (500円×40口) 120ヶ月 2,400,000円 64,530円 (B) 2,581,200円 (B)×40口
(c)20,000円 (500円×40口) 60ヶ月 1,200,000円 31,070円 (C) 1,242,800円 (C)×40口
合計 5,835,000円

 

≪付加共済金(二階部分)の額の算定≫

付加共済金は、共済金額のうち基本共済金額に上乗せする部分であり、いわば「二階建て」の「二階部分」に相当するものです。基本共済金と同様に掛金区分ごとに計算し、脱退するときに一括してお受け取りいただけます。

基準月ごとの付加共済金額

[付加共済金]=   [その基準月における仮定共済金額(※)=基準月で脱退すると仮定した場合の基本共済金額]   ×[その基準月の属する年度の支給率]

  • 基準月とは、掛金納付月数が36+12×n(n:整数)となる月です。
  • 支給率は、経済産業大臣が毎年度、運用収入等を基に、その年度の前年度末までに中小企業政策審議会の意見を聴いて定めます(現在までの各年度の支給率は、それぞれゼロとなっています。)。

共済金の試算例(付加共済金がある場合)

加入 平成24年9月に掛金月額10,000円で加入
増減額 無し
脱退 平成29年6月に個人事業の廃止(A共済事由)をされた場合
毎年度の付加支給率 平成24年度:0
平成25年度:0.0025
平成26年度:0.0026
平成27年度:0.0027
平成28年度:0.0028
平成29年度:0.0029
(平成25年度以降は仮の数値であり、実際の支給率は各年度の前年度末までに経済産業大臣が定めることになります。なお、現在までの実績はゼロとなっています。)

 

受け取り方法等中小企業基盤整備機構のホームページをご確認下さい。

●注意点

過去ブログで取り上げた時にもお知らせしましたが・・・

途中で掛金を減額した場合、減額分の減額前の積立額については、減額した時点以降、共済金を受け取るまでの間は、一切運用されません。

なぜなら、計算方法が、掛金のベース部分と増減部分を分けて考え、それぞれの納付期間のみに基づいて共済金を算定し、単純に合計するというものである為です。

納めた掛金が全額個人の所得から控除されるという節税メリットは変わりありませんが、減額した場合のデメリットも大きいので、節税のメリットに注目しすぎて目いっぱいの掛金を設定するのではなく、無理のない掛金の額にしたいものです。

節税メリットの大きい小規模企業共済、無理のない掛金で検討されてみるとよいでしょう。

 

税金のことなら朝日税理士法人までお気軽にご相談下さい。

 

山崎

 

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