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「争族」をおこさない為に



最近よく耳にする「争族

お父さんの遺産にかかる分割協議において、

  • 誰が何を貰う
  • 生前に何を貰っていたのを知っている

とかを、親族間で延々と言い合っている・・・(-_-;)
このような状態を、「相続」を揶揄して「争族」って呼ばれています。

皆様はこの「争族」って、どのようなイメージをお持ちになられていますか?
お金持ちの家が抱える問題?
いえいえ、決してそんなことは無いんです。

争族の実情は・・・

少し古いデータではありますが、遺産分割争い(争族)の実情を見てみると、家庭裁判所における相続に係る相談件数は、

  • 平成13年:約9万件
        
  • 平成23年:約17万件

10年で約1.9倍となっています。

この相談者たちは、みんなお金持ちなんでしょうか?
決してそんなことはありません。

この相談件数のうち、遺産の価額が1,000万円以下の方々が31%を占め、5,000万円以下の方々が45%を占めているのです。
つまり、遺産の価額が5,000万円以下の方々が、実に7割以上ということになります。

遺産の価額が5,000万円以下って事は、平成26年12月31日以前に発生した相続については、(基礎控除が最低でも5,000万円あるので)相続税の申告義務が無い方々ということになります。
さらに、平成27年1月1日以後発生の相続については、基礎控除の4割カットがあります。
その為、遺産の価額5,000万円以下の方々も、場合によっては遺産分割でもめているところに税金の問題も絡んでくるようになるわけです。

相続ってお金持ちだけがもめている訳ではないことがお分かりになられたかと思います。
これらのことから考えても、生前に争族対策はどなたにも必要なことといえます。

争族をおこさないために

相続税の節税も重要ですが、「争族をおこさない相続」も非常に重要なんです。
この「争族をおこさない相続」をする為には、最低でも

  1. 相続人が誰になり、その法定相続分はいくらかを調べる
  2. 相続財産・債務を洗い出す
  3. その財産を誰が相続するのか検討し、話し合いの場を設ける

といったことが必要になります。

1.相続人が誰になり、その法定相続分はいくらか

相続人が配偶者と子だけといった一般的なケースなら、簡単にわかるでしょう。

しかし、被相続人が高齢化して、会ったこともないような人が相続人になっていて、さらに、その人が行方不明の人だった場合はどうでしょうか?
たとえ行方不明でも、原則は相続人全員での遺産分割協議が整わなければ、遺産の分割は出来ません。

このようなことが被相続人が亡くなった後の調査で分かった場合、いつになったら遺産分割協議がまとまるか分かりません。
相続税の申告が必要な方は、原則、被相続人が亡くなってから10ヶ月以内に申告をしなければいけません。
この10ヶ月以内に遺産分割協議がまとまらなければ、受けられたはずの税制上の優遇措置が受けられない可能性もあります。

出来るだけ早いうちから、相続人が誰になって、その法定相続分はいくらかは知っておきましょう。

2.相続財産・債務を洗い出す

相続財産と言われるとどんなものが思い浮かびますか?

不動産、現預金、株式などの金融資産はすぐに思い浮かぶかもしれません。
しかし、その他にも、書画骨董、貴金属などももちろん財産になります。
相続税法で規定している財産の中には、生命保険金や死亡退職金など本来の相続財産でなくても相続でもらったものとみなされるものがあります。

また、相続で引き継ぐのは何も資産ばかりとは限りません。
借金も相続の対象となります。
民法は「相続人は、相続開始のときから、被相続人の財産に属したいっさいの権利義務を承継する」と定めています。
「権利」だけではなく、「義務」も相続するということに注意してください。
つまり、資産だけ相続して、借金は相続しないなどという都合の良い話にはならないのです。

仮に借金の方が多い場合には、相続するとかえって損になってしまいます。
その場合には相続放棄ができますが、それには相続開始から3ヶ月以内に相続放棄(相続放棄の期間の伸長)の手続きを取れなければ、借金を含めて相続を承認したことになってしまいます。

亡くなられた後の3ヶ月は本当にあっという間に過ぎてしまいます。
この3ヶ月間に、遺族がこういった手続きまで行うことはかなりの負担になると思います。
ご自身の財産のことは、自分が一番知っているはずです。
残された遺族に負担をかけることのないよう、財産・債務をきっちり把握しておきましょう。

3.その財産を誰が相続するのか検討し、話し合いの場を設ける

相続の問題は、必ずお金が絡んでくるので、親も子もなんとなく面と向かって話しづらいものです。

でも、どんな財産があるかを説明することは、親のこれまでの人生を伝える機会にもなります。
また、子は将来の人生設計を親に話すきっかけになるかもしれません。
日ごろから、ざっくばらんに親子で話し合いの場をもち、風通しの良い家族関係を作っておきましょう。

また、ある程度相続の方針が決まっているのであれば、遺言書の作成も有効な手段です。

遺言書に起因する争族があることも事実なので一概には言えませんが、遺言書であらかじめ遺産の分配を決めておけば、無用な争いを避けることができる可能性は高まります。
例えば、法定相続人ではないが、面倒を見てくれた長男の妻にも財産を残したいときなどは、遺言書が効力を発します。
法定相続人ではない長男の妻には、遺言書が無ければ、どんなに財産を残したいと思っても残せないのです。

遺言書は、自分の思いを伝えることができ、自分が築いた財産の分配について、自分の意思を明らかに出来ます。
この遺言書によって、円満な相続ができるようにしておくことも、残された家族に対する思いやりなのではないでしょうか。

まとめ

相続で一番悲しいことは、遺産争いである争族です。

「我が家は仲がいいから大丈夫」と思っていて、実際に兄弟仲はとても良かったとしても、その配偶者達が口を出してきたりして、話がまとまらず泥沼化することはよくあります。
そして、最終的には仲が良かったはずの兄弟間でももめてしまい、調停後には兄弟の縁が切れてしまうことも十分あります。

円満な相続は、相続人がつくるものではなく、財産を残す被相続人側に責任があるのかもしれませんね。

相続、税務でお困りの方は、お気軽に朝日税理士法人にご連絡ください。
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