先物為替予約



昨今の急速な経済のグローバル化・ボーダレス化は、日本の大手企業ばかりでなく、中小企業まで巻き込んで進展しています。

株価も為替相場も、日本国内の状況のみが変動要因ではなく、世界のどこかで起こった事象が大きく影響を与えます。

輸出入といった海外取引にまだ慣れていない中小企業の皆さんも、多い事でしょう。

代金決済が円、所謂、円建て取引が望ましいところですが、「外貨建て取引」にならざるを得ない場合もあります。

外貨建て取引は為替相場の変動に伴うリスクにさらされます。

例えば、輸出取引において、1ドル=120円の時に1万ドルの商品を海外へ輸出したとします。その後、販売代金1万ドルを回収した時点の為替レート1ドル=100円になっていたら、為替

レートが20円だけ円高になったがために、20万円の損です。

資金的に余裕があるなら、為替レートが1ドル120円の水準に戻るまでそのドルを外貨のまま保有しておけば、計算上の損失だけにとどまります。

しかし、資金的に余裕がなくてドルを円に両替するとなると、その損失は実現して運転資金に影響を与えます。

他方、同じ円高でも輸入取引に与える影響は逆で、利益が発生します。

将来の為替レートがいくらになるかはわかりませんが、少なくとも、為替相場の変動に伴うリスクは回避したいものです。

その一つの手段として、「先物為替予約」があります。

先物為替予約とは、将来の一定の期日又は期間を予約の実行日又は期間と定めて、銀行と外貨の決済を行う為替レートをあらかじめ取り決めておく為替売買取引です。

TTB・TTSの各々の末尾の「B」とか「S」が、銀行側から見た外貨の買い(Buying)又は外貨の売り(selling)を意味するように、銀行との外国為替取引上は、売買取引となります。

先物為替予約には次のような種類があります。

先物為替予約の種類 内 容 特 徴
確定日渡し 予約の実行日を将来の任意の特定日とする 例えば、「9月5日渡し」といったように予約の実行日を特定します。このような特定日は、外貨建て代金の決済日など外貨の支払期日や外貨の受領日が事前に確定している外国為替取引に利用されています。
期間渡し 予約を実行する期間を将来の任意の一定期間とする 外貨建て代金の決済日が確定できないような場合に利用されています。月単位の「暦月渡し」、先物為替予約の締結日の2営業日後を基準とした「特定期間渡し」などがあります。これらの期間渡しの特徴は、その予約が実行可能な期間中であれば、銀行休業日を除き、いつでも予約の実行ができます。

 

先物為替予約を活用される場合には、留意点もあります。

先物為替予約の締結に際し、銀行の事前審査を受ける必要があります。

銀行は、先物為替予約の締結を顧客に対する与信行為とみなしているからです。

また、先物為替予約は原則として、一度予約すると取消しはできず、期日又は期間内に締結済みの予約金額の全てを実行しなければなりません。

 

先物為替予約も上手に使って初めて、その効果を発揮します。

上手に使うためには「先物為替予約」の仕組みの理解が不可欠ですので、予め取引銀行に相談、詳細な説明を受けることをお勧めいたします。

 

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