利益供与にかかる贈与税
最近、テレビ局の男性アナウンサーが、有力スポンサー企業の創業者の男性から利益供与を受けていたことが週刊誌で報じられました。
男性アナウンサーは、自宅マンションを購入した際、創業者の男性から1億7千万円を無利子で借りていたほか、高級車ベントレーも無償で借りていたとのこと。
ところで、無利子でお金を借りることって、税金の問題は生じないのでしょうか?
民法では、当人同士が「貸します、借ります」と取り交わせば貸し借りとなり、「あげます、もらいます」といえば贈与とみなされます。
しかし、税法では実態で考えるため、「貸した、借りた」と双方が言っても、返済方法、利息などを記した借用書がなければ、通常、利息部分の贈与があったとみなされます。
本件について、男性アナウンサーが創業者の男性から「借りた」と認定されたとします。
1憶7千万円を35年ローン 金利を1.5%と仮定すると、利息は5千万円ほどになります。
無利息で借りたということは、この利息分5千万円の利益を受けていたと取り扱われることになると思われます。
ところで、元金の1億7千万円の贈与を受けたと認定された場合はどうなるでしょうか。
世間には「ある時払いの催促なし」、「出世払い」という貸し借りもあると思いますが、課税庁は、こういった貸借の場合には、借入金そのものを贈与として取り扱う場合があります。
本件についても、金額の大きさや、貸借のあいまいさから元金1億7千万円の贈与があったとみなされることも考えられます。
仮に1億7千万円の贈与があったと認定された時の贈与税額は、8,220万円となります。
さらに加算税や延滞税もかかってきますので、相当な金額を納めなければならなくなります。
このお金のやりとり、貸し借りなのか、贈与なのか、実態がよくわかりませんが、国税も関心を寄せていることでしょう。
身近なところでも、親と子、祖父母と孫など特殊の関係がある人相互間における金銭の貸借は、贈与税の課税の問題が生じないように注意が必要です。
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