外国税額控除
日本での外国税額控除
日本の税法上、国内法人は日本で生じた所得についてはもちろん、外国で生じた所得にも課税されることとなっています。
しかし、外国で生じた所得の場合、その国の法令に基づき所得に対して源泉税が課税されている場合があります。
その場合、二重課税が発生した状態となります。
国際的にはこの二重課税の調整方法として、国外所得免除方式、外国税額損金算入方式、外国税額控除の3方法があり、日本では外国税額損金算入方式または外国税額控除のいずれかを選択できることになっており、多くの会社では外国税額控除方式を採用しています。
外国税額損金算入方式と外国税額控除方式
<外国税額損金算入方式>
外国税額を所得を計算するときに調整せず(結果として損金算入)し税額を計算するときに調整しない(税額控除しない)方法の事を指します。
課税対象となる国外所得は外国税額を差し引いた手取り額となり、外国で納付した税金は日本の法人税額から控除されません。
<外国税額控除方式>
外国税額を所得を計算するときに加算(損金不算入)し税額を計算するときに税額控除する方法のことを指します。
課税対象となる国外所得は外国税額差し引き前の金額となり、それに対し日本の法人税額を計算。外国で納付した税金は控除限度額の範囲内で控除されます。
注)必ずしも支払った税額が全額控除できる訳でなく一定の計算式に沿った限度額まで控除できます。
法人税の考え方を理解していないと難解かもしれませんね・・・
イメージとしては
<外国税額損金算入方式>は外国税額を、法人税を計算する上での損金(費用)にすることが出来て、算出された法人税から支払った外国税額を控除することが出来ません。
逆に<外国税額控除方式>は外国税額を、法人税を計算する上での損金(費用)にすることは出来ませんが、算出された法人税から支払った外国税額を控除することが出来ます。
税金負担総額は、<外国税額損金算入方式>の方が多くなることの方が多いので、<外国税額控除方式>の方が一般的には有利であると言われています。
<外国税額損金算入方式>と<外国税額控除方式>は年度ごとに選択できますが、事業年度ごとで両方の方式を併用することは出来ません。
<外国税額控除方式>を選択した場合に、控除しきれない外国税額や、使用しなかった控除限度額があれば、3年間繰り越すことが可能です。
ただし一度<外国税額損金算入方式>を採用すると、今まで<外国税額控除方式>で繰り越してきた控除限度超過額及び控除余裕額は切り捨てなければなりません。
十分な外国税額控除枠が無い場合などは損金算入方式に変えるのもありですが、多くの外国税額控除枠があるならば変更は控えた方がいいでしょう。
税金に関するお悩みは朝日税理士法人へご相談ください。