欠損金に係る更生の請求期間の延長と帳簿保存期間



平成27年税制改正の一つとして、課税ベース拡大策の一つに挙げられている繰越欠損金の控除制度の見直しについて説明します。

『欠損金の繰越控除制度』とは、法人の特定の期に税務上の欠損金が発生した場合に、その欠損金を繰越し、翌期以降の課税所得と相殺することで税負担を軽減する制度です。

①欠損金の繰越期間の延長が9年から10年に改正されます。

欠損金の繰越控除制度の適用要件としては、

  1. 内国法人が欠損金の生じた事業年度が青色申告であり、その後連続して確定申告を行っていること。
  2. 欠損金が生じた事業年度の帳簿書類を保存していること。が要件となります。

ただ、欠損金の繰越控除の適用を受けようとする事業年度においては、青色申告である必要はありませんが、欠損金の発生した事業年度は青色申告である必要があり、帳簿書類の保存義務が課せられています。

上記の、改正に合わせて、更生の請求期間についても「10年」とする改正が行われ

税務署長による更生ができる期間も「10年」と改正がされました。

適用開始期間:平成29年4月1日以後に開始する事業年度から

②青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金 の繰越控除制度における控除限度額が、段階的に引き下げられます。

           事業年度  控除限度  繰越期間
改正前 平成27年3月31日までに開始する事業年度   80%    9年
改正後 平成27年4月1日から平成29年3月31日までに開始する事業年度   65%
平成29年4月1日以後に開始する事業年度   50%   10年

※所得の控除限度は大法人の適用となります。中小法人は、所得の控除限度は現行どおりありません。

また、上記①に伴い、帳簿の保存義務も平成29年4月1日以後は「10年」となりますので注意が必要です。

今回の改正は、大法人にとっては所得の控除限度が大幅に下がってしまい不利な改正となりますが、中小法人にとっては繰越期間が1年増え、依然として控除限度もないので有利な改正となります!

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