法人の預金利息の利子割の廃止
平成28年1月1日以降の受取分から、法人の預金利息に対する利子割が廃止されています。
受取利息の割り返し計算を行う際にはご注意ください。
預金利息は、通帳に印字される数字がその受取額ではありません。
実は、税金が控除された後の金額が入金されているのです。
平成27年までは、税金として
- 源泉所得税及び復興特別所得税 : 15.315%
- 都道府県税利子割 : 5%
が控除されていました。
これが、平成28年受取分からは
- 源泉所得税及び復興特別所得税 : 15.315%
だけが控除されることとなったのです。
これだけでは、何のことかわかりにくいと思いますので、具体的な計算例を挙げてみたいと思います。
<受取利息額が100円だった場合>
平成27年までは、
- 国税(源泉所得税及び復興特別所得税):15円(端数切捨)
- 都道府県税利子割:5円
が控除された80円が通帳入金されていました。
これらの源泉された税金は法人の確定申告にあたって精算する必要がありました。
受取利息を80円ではなく100円として計上し、それに対して法人税及び県民税を計算し、その法人税額及び県民税額から、利息について控除された源泉税および利子割を控除するということです。
この時必要だったのが割り返し計算です。
通帳印字が80円の入金だったとして、
- 80円 ÷ (1 - 0.15315 - 0.05) = 80円 ÷ 0.79685 = 100円
という計算をして受取利息100円を計上し、控除された税額を
- 源泉所得税及び復興特別所得税 : 100円 × 15.315% = 15円
- 県民税利子割 : 100円 × 5% = 5円
と計算する必要がありました。
これが、平成28年受取分からは、
- 国税(源泉所得税及び復興特別所得税):15円(端数切捨)
が控除された85円が通帳入金されることになります。
これについて、
- 85円 ÷ (1 - 0.15315) = 85円 ÷ 0.84685 = 100円
という計算をして受取利息100円を計上し、控除された税額を
- 源泉所得税及び復興特別所得税 : 100円 × 15.315% = 15円
と計算することになります。
普通預金の利息付与が2月にありますので、2月の会計処理の際にはご注意ください。
1月に満期を迎える定期預金がある法人の方は、すでに1月月次で計上されているものと思いますが、従来どおりの割り返し計算をされていたら誤りですので、修正が必要です。
なおこれは、利息の受取側にとっては会計処理の簡素化にはなりますが、最終的な税負担は変わりませんのでご注意ください。
減税ではありません。
都道府県としては、これまでごく少額の利子割の徴収及び還付作業に多大な労力と費用(振込手数料等)を要していたので、それが軽減されることになります。