消費税の還付(輸出業)
輸出業における消費税の還付
法人設立したばかりの方から問い合わせの電話があり、会社へお邪魔しました。
事務所兼用の大きな倉庫で営業されており、輸出商品がギッシリと積んでありました。
会社設立後、ほぼ一年が経過しており決算月も到来してる状況でのご相談でした。
現金出納帳をパソコンで作成しており、領収書もきっちりノートに貼ってあります。
社長が帳簿を作成していることもあり、売上や経費及び利益額が話しをしていてもスラスラと出てきます。
そんな社長から
「今年は売上も少なく、利益はあまり出ない。
しかし、来年度は売上も大幅に増える予定です。
輸出業だと消費税が返ってくるって聞いたけど…。」
といった質問がありましたので、以下の様な簡単な例を挙げてお答えしました。
- 売上(全て輸出売上) : 1億(免税※)
※国外への輸出による資産の譲渡なので、消費税は免税 - 仕入(全て国内仕入) : 9,720万(課税8%※)
※国内事業者からの資産の譲渡なので、消費税は課税
(ちなみに支払った消費税等は720万円) - 給与等課税されない経費 : 280万(不課税)
- 当期純利益 : 0円
だったと仮定すると・・・
消費税の還付申告を行うと720万円還付されて、利益が720万円増えます。
720万利益が増えますので、法人税(3割として計算)を払ったとしても手元に500万残るわけです。
これだけキャッシュが残っていれば、会社経営が結構楽になりそうですね。
ただし、注意点が1点。
消費税はそもそも「課税事業者」になっていなければ還付を受けられないということです。
課税事業者とは、消費税を納める義務のある事業者のことで、これとは反対に、消費税を納める義務が無い事業者のことを「免税事業者」と言います。
免税事業者はそもそも消費税を納める義務が無いので、還付も受けられないということです。
消費税の課税事業者となる主な条件は以下の通りです。
- 基準期間の課税売上高が1000万円を超える場合
- 特定期間の課税売上高が1000万円を超える場合
(課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額が1000万円を超えたかどうかで判定することもできます。) - 消費税の新設法人に該当する場合
(新設法人のように基準期間のない事業年度であっても、その事業年度開始日における資本金の額等が、1000万円以上である場合) - 消費税の特定新規設立法人に該当する場合
(1~3の詳しい解説はコチラのブログをお読みください。)
このお客様は1~4のいずれにも該当しませんでした。
ですので、この相談を受けた時点では「免税事業者」ということになり、消費税の還付は受けられません。
その後も、課税売上高が1,000万円以下で推移すれば、免税事業者のままです。
それでは、「このようなお客様は課税事業者になるまで、いつまでたっても消費税の還付を受けられないのか?」かというと、そんなことはありません。
還付を受けようとすると事業開始日の前日までに「消費税課税事業者選択届出書」という書類を税務署に提出しておけば、課税事業者となれるからです!
【事業を開始した日の属する課税期間(設立1期目等)に提出すれば、1期目から課税事業者となります。】
しかし、このお客様はもう2期目に突入しちゃっています(>_<)
ですので今回の場合、2期目の途中からでも消費税の還付を受けれるようにする為、消費税課税期間特例選択(課税期間を3月又は1月に変更し、課税期間を短縮することにより、早期に還付を受けることが可能となります。)と組み合わせて少しでも有利になる方法を選択することにしました。