消費税率アップの負担感はどこから?
早いもので、平成26年4月に消費税率が8%に上がってすでに3年以上が経過しました。
平成31年10月からは10%になる予定です。
5%から8%に税率が上がった時は、率にすれば僅か3%のアップでしたが、いざ申告して納付するときの負担感は感覚的には倍増したぐらいに感じた方も多かったのではないでしょうか?
たった2%か3%の違いでどうしてこんなに負担感が変わるのか?
税率5%だったところから3%上がるということは6割増しですし、改正初年度は中間納付額が相対的に少なくなる分、確定納付額がより多くなる等いろいろな原因が重なってとくに強く感じることになったと思います。
個人的には、それとは別に、消費税の計算のしくみがこの負担感の大きさに深いところで関わっているような気がします。
「売上があったら、その8%全額を必ず納めなければならない」
消費税のしくみ
申告時に納める消費税は、売上に係る消費税から仕入に係る消費税を控除した残額だけを納めるため、法人税や所得税の決算対策を行った結果消費税も節税できたね、ということはありますが、消費税に関しては実はまったく節税にはなっていません。
「あなたが納める消費税は、常に売上の8%です。」
売上によって預かった消費税から、仕入によって支払った消費税を引いた残りを納めるだけですから、どこまで行っても納める総額は売上の8%と決まっています。あとはいつ納めるか、ものを買ったついでに納めるのか、申告時に納めるのか、それだけの違いです。
売上が上がった以上、その8%はきっちり納めてもらうよ(預かってるんだから当然でしょ?)、それが消費税です。
逆に、売上の8%を超えて納めた分は、返ってきます。
税率がアップしたとき
売上が増加したら、その分まるまる消費税が増加するので、イコール納める税額もまるまる増えます。
でも経費のうち給料や社会保険料、減価償却費等がいくら増えても消費税は含まれません。
税率が上がった時も同じことが起こります。
税率が上がった時に納税額が増える原因は「売上で預かる消費税の方が仕入で支払う消費税より多い」ということです。
ですが、数字上の税率アップよりも負担がずしっと重くなったと感じる原因は、
「売上があったら、その8%全額を必ず納めなければならない」
という消費税のしくみが根本にあると思うのです。
売上が1億円の場合、
税率が2%上がったら、無条件に200万円税額が増えます。
税率が3%上がったら、無条件に300万円税額が増えます。
無条件に、です。
本当は、その分は誰かから預かっているお金なんですけどね。
ただ、売上代金と消費税を別々にもらう訳ではないので、お金としては全部もらった感覚にどうしてもなってしまいますよね。
「売上があったら、その8%全額を必ず納めなければならない」
ということは、
「売上があったら、納めるべき消費税を預かっている」」
ということです。
消費税分は自分のお金ではない、ということなんですよね。
税率がさらに上がる前に、あらためてその認識を強くしておく必要がありそうですね。
納税額に「そんなにいるの?」と思ったときは、思い出してみてください。少しは怒りが治まるかも(?)
消費税は申告方法等で選択の余地がありますので、相対的に節税になるケースもあります。
ご相談は朝日税理士法人まで。
坂口