消費税率10%への引上げ時期及び軽減税率制度の実施時期
平成28年11月の税制改正により、消費税率の引上げ時期及び軽減税率制度の実施時期等が変更されています。
平成31年10月1日以後に行われる資産の譲渡等について適用される税率は、次のとおりです。
適用開始日 | 現行 | 平成31年10月1日 | |
税率区分 | 標準税率 | 軽減税率 | |
消費税率 | 6.30% | 7.80% | 6.24% |
地方消費税率 | 1.70% | 2.20% | 1.76% |
(消費税額の17/63) | (消費税額の22/78) | (消費税額の22/78) | |
合計 | 8.00% | 10.00% | 8.00% |
(注)ただし、適用開始日以後に行われる資産の譲渡等のうち一定のものについては、改正前の税率を適用することとするなどの経過措置が講じられています。
平成26年4月1日に消費税率が5%から8%へ引き上げられてから約5年先のことなので、10%への引上げ時期がいつだっけ? という感覚になっていませんか。
軽減税率制度は、軽減税率の対象品目を取り扱っている事業者の方(飲食料品の卸売・小売、食品製造、外食等の業種)はもとより、軽減税率の対象品目を取り扱っていない事業者の方や、課税事業者と取引を行う免税事業者の方にも影響があります。
当法人も、会議費や交際費として飲食料品を購入する場合がありますので、当事者として無関係ではありません。
消費税の申告・納税に当たっては、適正な課税を確保する観点から、複数税率制度に対応した仕入税額控除の方式として、「適格請求書等保存方式」が平成35年10月から導入されます。
仕入税額控除の要件たる、現行の「請求書等保存方式」から当該方式を適用するための事業者の準備等に配慮して、平成31年10月から4年間は簡易な方法(「区分記載請求書等保存方式」及び税額計算の特例)が適用されます。
仕入税額控除方式 | 請求書等保存方式 | 区分記載請求書等保存方式 | 適格請求書等保存方式 | |
(現行制度) | (簡易な方法) | (インボイス制度) | ||
適用期間又は導入時期等 | 平成31年9月30日まで | 平成31年10月1日から平成35年9月30日まで | 平成35年10月1日から | |
請求書等 | 記載事項 | ①請求書発行者の氏名又は名称 | ①同左 | ①同左 |
②取引年月日 | ②同左 | ②同左 | ||
③取引の内容 | ③同左 | ③同左 | ||
④対価の額(税込み) | ④同左 | ④同左 | ||
⑤請求書受領者の氏名又は名称 | ⑤同左 | ⑤同左 | ||
⑥軽減税率の対象品目である旨 | ⑥同左 | |||
⑦税率ごとに合計した対価の額(税込) | ⑦同左 | |||
⑧登録番号 | ||||
⑨税率ごとの消費税額及び適用税率 | ||||
交付義務 | なし | なし | あり | |
不正交付の罰則 | なし | なし | あり | |
免税事業者の交付 | 可 | 可 | 登録を受けた課税事業者のみ交付可 | |
免税事業者からの仕入税額控除 | 可 | 可 | 不可 |
特に要注意なのは、適格請求書等保存方式が導入された後の、免税事業者の取扱いです。
適格請求書等を発行できる事業者は、税務署長に申請して登録を受けた課税事業者(売り手)であり、買い手側では、適格請求書の保存を仕入税額控除の要件とされます。
つまり、免税事業者からの仕入れは仕入税額控除出来ないことになります。
免税事業者からの課税仕入れについては、一定期間、仕入税額控除の特例が設けられていますが、将来の方向性として、商取引から除外される可能性を多分に含んでいます。
平成35年10月1日から平成38年9月30日まで・・・仕入税額相当額の80%
平成38年10月1日から平成41年9月30日まで・・・仕入税額相当額の50%
免税事業者であっても、課税事業者となることで登録を受けることができますが、税負担に耐えられるだけの担税力を身につけていなければ、財政基盤を圧迫します。
まだ先の話として対策の検討を先送りにしていては、後で後悔することにもなりかねません。
時間が経つのはあっという間、備えあれば憂いなし、今から対策を練っておきましょう。
準備期間を長く取れるため、軽減税率制度の実施時期が後ろにずれたことは不幸中の幸いかもしれません。
oka