相続申告で漏れがちな財産!
相続税の基礎控除に関する平成27年度改正(平成27年度改正については「相続税の基礎控除引下げと課税対象者の拡大」をご覧ください。)がありましたが、それに伴い相続関連の仕事を請ける機会が増えてきました。
改正がなければ、相続の申告が必要のない案件もいくつかありました。
皆様、口を揃えて「今回の改正がなければな」とおっしゃります。
残念ですが、こればかりは、しかたがないですね…
相続申告で漏れがちな財産
さて、今回は、相続申告で漏れがちな財産をいくつかあげてみようと思います。
- 名義預金、名義有価証券
本当は被相続人の預金等なのに、名義だけが相続人である配偶者や子供等の家族名義等になっている預金等のことです。
単に家族の名義を借りた預金等は被相続人の財産とされます。
これらの預金等は被相続人が管理運用していたため、相続人が知らなかったり、使用していなかったりするため申告漏れが発生してしまうことがあります。 - 相続人が被保険者となっている生命保険契約で、被相続人が契約者となっている契約または、実際は被相続人が保険料を負担していた契約
保険金は、入ってこないが、契約が存続しているもの 。 - 2.の保険金以外でも、相続開始時に解約返戻金等が発生する契約。
例えば、建物更正共済等があります。
相続による引き継ぎの際、一般的な掛捨型の火災保険契約の場合には、被相続人が支払った保険料は掛捨て保険料のみですので、相続により引き継いだ掛捨型の火災保険契約を解約した場合でも、解約返戻金を受け取ることはないため、相続税の対象となるものはありません。
しかし、建物更正共済は積立型の火災保険のため、被相続人が支払った保険料の中には積立金に相当する部分があります。
相続により引き継いだ建物更正共済を解約した場合には、既に積立金部分を解約返戻金として受け取ることが出来る為、相続により契約を引き継いだ際に、相続人は被相続人が支払っていた積立金部分を受け取ることがでる権利を取得したことになり、死亡した時点における積立金部分の解約返戻金相当額が相続税の対象となり、相続税が課税されることとなります。
もちろん上記以外にも、相続人が把握されていないものは、どうしても漏れてしまう可能があります。
また、申告手続きの窓口となる相続人以外の相続人が受けているこれらの財産も、把握しづらいです。
よって、申告期限も他の税目とことなり、10カ月と長めなのです。
実際に税務調査が入った場合には、税務職員は、被相続人の遺産だけでなく、相続人はもちろん、相続人に該当しない孫等の預貯金、有価証券、生命保険契約等を全て調べます。
また、所得も調べます。
この理由として、専業主婦・学生等の方の財産が多額の場合、税務署から見ると、所得がない、又は、少ないのにこんなに財産を貯めれますか? 誰かから、贈与を受けてるのではないですか?という調べ方をするからです。
その結果、その資金の出所が被相続人である場合、「被相続人の相続財産ではないですか?」と言う流れになります。
もしそのような財産が、指摘され認めると、その財産について、再度分割協議を行う必要がある可能性が出てきます。
もちろん、修正申告も必要となり、過少申告加算税、重加算税、延滞税等のぺナルティーもかかる恐れがあります。
また、再度分割協議のやり直しと成ると、相続人全員に負担が発生します。
つまり、もし、一人の相続人が財産を隠していた場合、他の相続人との関係は、その後悪化する恐れもあるのです!
このようなことが、起こらないように、親の財産をある程度、生前に相続人となる方が、把握されていることをお勧めします。
相続税が発生する、発生しそうな場合には、親御さんと十分に相談理解の上、是非、朝日税理士法人まで、ご相談ください。
生前贈与対策から、相続税のシュミレーション等さまざまなサービスをご用意しております。