配偶者(特別)控除 その① ~103万円の壁~
配偶者控除見直しの状況
2014年11月7日に政府税制調査会は配偶者控除について2016年以降の見直しを目指すと発表しました。しかし、現時点では何も決まっていません。
検討していることがニュースで流れるや反響が大きく、議論が巻き起こっています。
もし、配偶者控除が廃止されることになったら、現行の配偶者控除の対象世帯にとっては、税負担が増えることになります。
それでは、現行の配偶者控除制度はどういったものなのか確認しておきましょう。
配偶者控除と配偶者特別控除
①【配偶者控除】とは
よく103万円の壁なんて耳にするけれど・・・
納税者に所得税法上の「控除対象配偶者」がいる場合、一定の金額の所得控除が受けられるというものです。
この控除対象配偶者というのは以下の4つの要件の全てに当てはまる人をさします。
- 民法の規定の配偶者である。(内縁関係は該当しない。)
- 納税者と生計を一にしている。
- 年間の合計所得金額が38万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
- 青色申告者の事業専従者(納税者本人が経営する会社で働いている人)としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない。又は白色申告者の事業専従者でないこと。
配偶者控除額は、
一般の控除対象配偶者・・・38万円
70歳以上(その年の12月31日現在の年齢)の控除対象配偶者・・・48万円
例えば、
・夫がサラリーマンで給与所得のみ
・年収600万円
・基礎控除以外の控除は無し
の場合、細かい計算は省略しますが、所得税は355,800円(復興特別所得税含む)、住民税は395,500円くらいになります。
それが、配偶者控除を受けるだけで、所得税は278,200円(復興特別所得税含む)、住民税は362,500円くらいになります。
この方の場合、配偶者控除を受けることによって、所得税・復興特別所得税・住民税をあわせて110,600円も税金が安くなるのです。
逆にいえば、このケースの場合、制度が廃止されただけで110,600円も増税になってしまうんです。
※住民税の額は概算となります。
②【配偶者特別控除】とは
意外とご存知でない方も多いようなのです。
配偶者に38万円を超える所得(給与のみの場合は給与収入が103万円超)があるため「配偶者控除」の適用が受けられない時でも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除を受けることができるというものです。
ただし「配偶者特別控除」を受けるためには、以下の6つの要件全てに当てはまらなければなりません。
- 控除を受ける人のその年の合計所得金額が1,000万円以下である。
- 民法の規定の配偶者である。(内縁関係は該当しない。)
- 納税者と生計を一にしている。
- 年間の合計所得金額が38万円超76万円未満である。 ★下の表をご覧ください。
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていない。又は白色申告者の事業専従者でないこと。
- 他の人の扶養親族となっていない。
控除額は、最高額が38万円で、配偶者の合計所得金額により段階的に控除額が変わります。
給与所得者の場合は、「配偶者特別控除」は年末調整で受けることができるので、「給与取得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申請書」を勤務先に提出しなければなりません。
配偶者の合計所得金額 | 給与のみの場合の収入額 | 配偶者特別控除の控除額 |
38万円を超え40万円未満 | 1,031,001~1,049,999 | 38万円 |
40万円以上45万円未満 | 1,050,000~1,099,999 | 36万円 |
45万円以上50万円未満 | 1,100,000~1,149,999 | 31万円 |
50万円以上55万円未満 | 1,150,000~1,199,999 | 26万円 |
55万円以上60万円未満 | 1,200,000~1,249,999 | 21万円 |
60万円以上65万円未満 | 1,250,000~1,299,999 | 16万円 |
65万円以上70万円未満 | 1,300,000~1,349,999 | 11万円 |
70万円以上75万円未満 | 1,350,000~1,399,999 | 6万円 |
75万円以上76万円未満 | 1,400,000~1,409,999 | 3万円 |
76万円以上 | 1,410,000~ | 0円 |
130万円の壁について、「配偶者(特別)控除 その②~130万円の壁~」でまた取り上げようと思います。 😆 😯