教育資金の一括贈与で受けた資金は教育資金以外に使えるか?



「教育資金の一括贈与制度」については、以前のブログで「教育資金の一括贈与について~平成27年度改正点も含めて~」で解説しています。

税務的には、祖父母等から本来相続人でない孫等にまとめて財産を移せるというのが最大のメリットだと思います。
注意点は、教育資金管理契約が終了した時に、当初の拠出額から教育資金支出額を差し引いた残額に贈与税がかかるということです。

当初の拠出額を、残さず教育資金として使えば税金がかからないということなのですが・・

  • 教育資金以外には使えるの、使えないの?
  • 判断する責任は誰にあるの?

というところまで、今回は検討してみます。

結論としては、

  • 教育資金以外に使うことは可能である
  • 教育資金かどうかを判断する責任は金融機関にはない

ということになります。

この制度は、租税特別措置法という法律の中で定められているのですが、条文上は教育資金以外に使うことを禁じておらず、教育資金以外に使った場合は贈与税がかかるというふうに定められています。
これは、資金管理契約を行う金融機関の立場で考えてもよくわかります。
教育資金以外に使うことを禁止する一番簡単かつ強力な方法は、それを法律で禁止し、また金融機関に教育資金以外への支払を禁止することです。
その場合、教育資金の範囲が複雑な中で、誤って教育資金以外の支払を教育資金と判断して支払ったとして、即違法行為となってしまいます。
これでは金融機関の責任が重すぎるということです。
国税庁のパンフレット等でも、教育資金以外の支払がありうるように書かれていますし(イラストの物はなんと宝石です)、信託銀行のウェブサイトでも「原則、教育資金以外の払い出しはできません」と書かれているところがありました。

では実務的に、何に注意したらよいかということですが、「教育資金管理契約が終了して、残高がゼロでも、贈与税がかからないかどうか確かめる」ことが必要です。
これにより贈与を受けた方がまず気をつける必要がありますし、私たち税理士事務所の者にとっても同様です。
「残高ゼロだし、教育資金以外には使えないはずだから、贈与税もないはず」というのは危険な即断というわけです。

教育資金一括贈与について疑問のある方は朝日税理士法人までご連絡ください。

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