相続した不動産の譲渡
相続した土地や建物を譲渡した場合どうなるのでしょうか?
こういったケースはよくあることですね。
土地や建物を売ると譲渡所得という種類の所得が発生し、これに対し所得税を納める必要が生じます。
この譲渡所得は、事業所得や給与所得などの所得とは別にして、所得税を計算する方法(分離課税)がとられています。
<具体的な譲渡所得の計算方法>
不動産の売却代金 - その不動産の取得費や譲渡費用 = 譲渡所得
- 取得費とは、売った不動産を買い入れたときの購入代金、購入手数料などその不動産を取得する際にかかった金額に、その後支出した改良、設備代金を加えた金額をいいます。
建物の取得費は、所有期間中の減価償却費相当を差し引いた金額とし、購入価格など取得費が分からない場合や、実際の取得費が売却額の5%よりも少ないときには、売却額の5%を取得費(概算取得費)とできます。 - 譲渡費用とは、不動産の売却にかかった費用をいい、仲介手数料、測量費、契約書の印紙代などをいいます。
この譲渡所得は、所有期間によって2つに区分します。
- 長期譲渡所得:譲渡した年の1月1日において所有期間が5年超 ⇒ 税率15.315%(住民税5%)
- 短期譲渡所得:譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下 ⇒ 税率30.63%(住民税9%)
では、相続や贈与で取得した不動産の取得費はどのように考えるのでしょうか?
答えは、被相続人や贈与者がその不動産を買い入れたときの購入代金や購入手数料が取得費となります。
なお、相続の際に相続人が支払った登記費用、贈与の際に受贈者が支払った登記費用、不動産取得税も含まれることになります。
取得費が分からない場合などは、前述した概算取得費を適用することになりますが、この場合には登記費用や不動産取得税は含めることができません。
つぎに、長期・短期で税率が違うことは、説明しましたが、相続・贈与の所有期間はどのように考えるのでしょうか?
相続、贈与のときから5年?
答えは、被相続人や贈与者が取得した時期がそのまま相続人や受贈者に引き継がれます。
つまり、被相続人や贈与者が取得したタイミングから実際に売却した年の1月1日までの期間が5年超か以下かで判断することになります。
相続で取得した土地の売却など、なかなか被相続人の購入代金など分からないものです。
そうなると概算取得費を適用することになりますが、売却代金の95%に20%の税金が課税されるわけですので大きな所得税を支払う必要が生じます。
相続の際に相続税を払い、その土地を売却した際に所得税を払い・・・
相続税が取得費に加算される特例がありますが、またの機会に説明しようと思います。
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