住宅ローン控除の増改築・借換え
住宅ローン控除を受けている方には、今の時期 借入先(金融機関等)から年末残高証明書が送られてくる時期になりました。
では、住宅ローン控除を受けていて、増改築等を行った場合、ローンの借換えをしたらその年は、どのように申告をすればよいのでしょうか?
借換え
住宅ローンの借換えによる新しい住宅ローンは原則として、住宅ローン控除の対象になりません。
しかし、次の全ての要件を満たした場合には、住宅ローン控除の対象となる住宅ローン等として取り扱われます。
- 新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものであること。
- 新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど住宅ローン控除の対象となる要件にあてはまること
具体的にどのようになるか以下の例を基に検討していきたいと思います。
【例】
資料1)新築・増築の年月日
・一番初めに新築した時の居住用年月日→平成21年6月1日
・増築した時の居住用年月日→平成26年12月20日
資料2)平成26年分年末残高証明書
・年末借入金等残高金額 2,480万円
・借入当初年月日:平成26年7月15日
・借入当初金額:2,500万円
・借入期間:平成26年8月~61年7月まで(35年間)
資料3)住宅増築契約書
・工事期間:平成26年9月1日~12月15日
・工事内容:住宅の増築
・工事金額:400万円
★ 借換えによる控除額の計算
A=借換直前における当初の住宅ローン等残高(2,000万円)
B=借換による新しい住宅ローンの借換時の金額(2,500万円)
C=借換による新しい住宅ローン等の年末残高(2,480万円)
Ⅰ)A≧B の場合 対象額=C
Ⅱ)A≺B の場合 対象額=CxA/B
今回はⅡに該当するため、以下のとおりで計算します。
2,480万円x2,000万円/2,500万円=1,984万円
1,984万円x1%=19万8400円
上記の金額で、年末調整にて住宅ローン控除を受けることになります。
※住宅借入金等特別控除を受けることができる年数は、あくまで居住の用に供した年から一定期間であり、住宅ローン等の借換えによって延長されることはありませんのでご注意ください。
増改築
増改築をした場合、次の要件を満たせば住宅ローン控除が適用可能です。
- 自己所有、かつ居住の家屋にかかる増改築であること
- 工事費用の額が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用の工事費用であること
- 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている借入金等であること
- 特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること
- 増改築等をした後の住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住用に供するものであること
- 居住の用に供した年とその前後2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例などの適用を受けていないこと。
以上の要件を満たせば、すでに受けている住宅ローン控除に加え、さらに増改築に関わる住宅ローン控除が受けられる事が可能となります。
ただし、各適用年の控除限度額のうち最も高い金額までしか控除することはできません。
例えば、平成21年度分の控除限度額が50万円、平成26年度分の控除限度額が40万円なら、二つの住宅ローン控除額の合計額の限度が50万円となります。
★ 増改築による控除額の計算
先ほどの例の資料で考えると、年末調整時に住宅ローン控除対象金額が1984万円だったので増改築部分の住宅ローンは
2,480万円-1,984万円=496万円
また、住宅借入金等特別控除の控除額は、住宅ローン等の年末残高の合計額(増改築等の工事費用の額が住宅ローン等の年末残高の合計額よりも少ないときは、その少ない金額。以下「年末残高等」といいます。)を基に計算することとなっています。
今回のケースの場合、住宅ローン等の年末残高は496万円、増築工事金額が400万円であるため、400万円の方が対象金額となります。
400万円×1%=4万円
借換・増改築による控除額
年末調整で計算した従来の住宅ローン控除19万8,400円と増築分の控除額4万円を合計した
23万8,400円≺50万円
よって 23万8,400円 が控除可能となります。
税務署には、確定申告書の「住宅借入金等特別控除額」欄に23万8,400円と記載し、増築分の新たな計算明細書を添付して申告書を提出してください。
借換や増改築が絡むとより複雑となっていきますが、住宅ローン控除の控除額は大きな金額となりますので、どれほどの金額が控除出来るのかを把握しておけばより良いと考えられます。
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