相続対策に生命保険が有効と聞きますが、なぜでしょうか?
平成27年の基礎控除の引き下げにより相続税の申告件数は、基礎控除改正前の平成26年分の約2倍となっており、生前贈与をはじめ相続税の節税に関心が高まっています。
年間110万円の生前贈与、養子縁組、収益物件の建設など様々です。
生命保険金については、相続人が受け取った場合、「500万円×法定相続人の数」まで相続税は非課税になることはご存知かと思います。
今回は、生命保険を相続対策として利用するメリットについて確認します。
- 他の相続財産と比べて共済金は早期に受け取れる
生命保険金は、早期に現金として受け取ることができる点があります。被相続人が亡くなると預金口座は凍結されます。原則、遺産分割協議を済ませないと、凍結された口座を解除することはできないため、預金口座を相続するまでには時間が必要です。その点、生命共済金は、書類の申請だけで1週間程度で受け取ることができます。
- 相続税の納税資金の確保ができる
不動産を相続した場合、相続税は高くなりますが、相続税は原則現金で納税しなければなりません。不動産を相続する人は、納税資金が工面できないために、期限内に納税できないことも考えられます。生命保険金は、被相続人の死亡後、すぐに現金で受け取ることができるので、納税の資金に充てることが可能です。
- 遺産分割で争う必要がない
遺産分割は自身の利益に関わるため、相続人同士でもめることがありますが、生命保険金は受取人固有の財産であるため、分割する必要が無いため、他の相続人と争わなくてすみます。また、代償分割の資金としての活用も有効です。
代償分割のイメージは、被相続人である父が仮に1億円の土地しか資産が無かったとしましょう。相続人が長男と次男である場合、この土地を法定相続分に従って分割すると長男・次男の共有名義の土地となりますね。将来売却することを考えているのであるならば別にいいでしょう。
が、長男の自宅が建っているとしたらどうでしょうか?次男は共有名義で相続することで納得するでしょうか?円満であれば遺産分割協議書に印鑑押してくれるかもしれませんが、得策とはいいがたいですね。次男は今回の相続で何の恩恵も無いのと一緒です。その土地を相続しても利用できないですし、売却もできない状態になります。ゆくゆくの将来、次男が亡くなったとき、この土地の相続権は誰になっていくか考えてみてください。また、長男としても自宅部分の土地に弟の名義が入っていることは好ましく思わないでしょう。
こんなとき被相続人である父が生前に長男受け取りで5,000万円の生命保険を契約していたなら、長男は自分が住んでいる土地を相続し、1億円の土地を相続する代わりに5,000万円を次男に渡すことで長男・次男とも1億円の土地の分割が円満にできることもあります。これを代償分割といいます。
- 遺留分侵害の対象外
被相続人は、特定の相続人に財産を相続させるように、遺言書に指定することがあります。しかし、各相続人の相続財産の割合は、法律で決まっています。この割合を、遺留分といいます。
そのため遺言書の指定により、相続財産の額が、法律で認められた相続財産の額を下回る場合、その差額分を他の相続人へ請求することが可能です。その点、生命保険金は、受取人の相続財産とみなさるため、遺留分に含まれません。
生命保険もそうですが、税対策を含めた相続対策は元気なうちにしかできませんので、十分にご検討いただければと思います。
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