節税対策に使われる設備投資と保険
新聞やテレビのニュースによりますと、日本企業は増収増益基調にあるとのことです。
それは、所謂大企業や都市圏に当てはまることであって、大半の中小企業や地方にあってはその実感はないのでは、と私は思います。
しかし、企業の好調・不調は、企業の規模や業種、地理で決めつけられるものではなく、経営者の手腕が業績の差となって表れてきます。
業績が好調な顧問先様から、節税対策の提案を求められることがあります。
将来予定していた必要な投資を、前倒しで実行することも検討の一つです。
中小企業様に馴染みのある「中小企業等投資促進税制」は、その適用を受けることのできる法人のうち資本金の額が3000万円以下の法人であれば、特別償却と税額控除のいずれかを選択適用することができます。
特別償却は、将来における減価償却費の先取り計上(利益の繰延べ)であって、税額の減額ではありません。
他方、税額控除は正に、税額の減額です。
節税しようとする対象年度の利益は、その年度だけたまたま出た多額の利益でしょうか? それとも来期以降も継続的に見込まれるものでしょうか?
単発の利益であれば、その年度の税負担を軽減するため、特別償却の選択が効果的なことが多いでしょう。
しかし、継続的利益が予想されるならば、減価償却の先取りをしてしまうと次年度以降の減価償却費が少なくなり課税所得が多くなるため、減価償却費は普通償却のままにしておいて、税額控除を選択するのが得策なことがあります。
確かに、特別償却の方が単年度に与えるインパクトが大きいのですが、次年度以降の業績見通しを踏まえて、特別償却と税額控除のいずれを選択するか、総合的に勘案する必要があります。
また、節税対策として、法人契約の生命保険に加入する場合があります。
注意すべきは、本来の保険の目的は保障であり、また一定期間、保険料の支払いに拘束されることです。
保険料は多額になることが多く、一時払いで損金算入できる商品は聞いたことがありません。
今年度たまたま多額の利益が出たからといって、大口の保険に加入するのは適当ではありません。
保険の場合も、前述した設備投資と同様、将来の業績と財務状況の見通しを踏まえて、保険に加入する・しない、加入する場合の保障内容や支払い可能な保険料の金額等を検討するようにしてください。
節税対策は二次的な効果であって、決して、本末転倒にはなりませんように。
必要のないものを購入する必要もありませんし、保障内容も理解しないで保険に加入すべきではありません。
oka