特定口座



特定口座とは

金融商品取引業者等を通じて上場株式等の取引をする場合、その取引する口座には、「一般口座」、「特定口座」及び「非課税口座(NISA口座)」があります。

一般口座では譲渡損益を自分で計算するのに対し、特定口座の場合は金融商品取引業者等が計算し、1年分の年間取引報告書を翌年の1月末までに郵送してくれます。

そして、特定口座では「源泉徴収口座」か「簡易申告口座」を選択することができます。
年間取引報告書を利用して簡易な申告が可能となり、源泉徴収口座を選択すれば、その口座内における譲渡益については申告不要とすることが出来ます。
但し、源泉徴収あり・なしの選択は、その年の最初の譲渡の時までにする必要があり、変更の手続きをしない場合は、前年と同じ源泉徴収区分となります
その年の途中では変更することができません。

また、非課税口座(NISA口座)は、その非課税口座開設の年の1月1日において20歳以上の方を対象として、平成26年から平成35年までの間に非課税口座で取得した上場株式等(投資額は年間120万円(平成27分以前は100万円)が上限)の配当等、譲渡益が最長5年間非課税となる制度で、特定口座とは全く別ものの制度です。
NISA口座で取得した上場株式等を売却したことにより生じた損失はないものとみなされます。

したがって、その上場株式等を売却したことにより生じた損失について、特定口座や一般口座で保有する上場株式等の配当等やその上場株式等を売却したことにより生じた譲渡益との損益通算や、繰越控除をすることはできません。
平成28年4月1日からは、20歳未満の方も非課税投資額年間80万円を上限として、NISA口座の開設が可能となります。

ちなみに、これをジュニアNISA※1と言います。
※1 ジュニアNISAについての詳細は「ジュニアNISAを知ろう」をご覧ください。

口座ごとの課税関係

※2 確定申告や源泉徴収の際には、所得税のほかに復興特別所得税(原則として所得税額の2.1%)が課されます。

メリット・デメリット

特定口座における「源泉徴収口座」と「簡易申告口座」には一長一短があります。

給与を1か所から受けていて、通常、年末調整だけで所得税等の精算が済んでしまう(医療費控除や住宅借入金等特別控除などで確定申告もしない)ような方は、給与所得及び退職所得以外の所得金額の合計額が20万円以下の場合、所得税の確定申告は必要ありません。
給与所得及び退職所得以外には株式等の譲渡所得しかなかったら、株式等の譲渡益が20万円以下なら所得税は払わなくてもよいのですが、「源泉徴収口座」を選択すると譲渡益の金額如何にかかわらず、所得税を源泉徴収されます。
この点「簡易申告口座」なら源泉徴収されないわけですから、申告不要で節税出来ます

他方、同様のケースで株式等の譲渡益が20万円超なら、「簡易申告口座」の場合、もちろん確定申告をする必要があります。
しかし、確定申告をすると、配偶者控除や扶養控除などを判定する際の「合計所得金額」に影響を与えます。
株式等の譲渡所得の申告によって、合計所得金額が38万円を超えてしまい、配偶者控除や扶養控除を受けられなくなることもあります。
また、国民健康保険料や介護保険料・住民税の計算の根拠となる所得を増やしてしまうことにもなります。
お子さんの保育料もあがるかもしれません。
この点「源泉徴収口座」なら、源泉徴収で課税関係は終了し、確定申告は不要です
合計所得金額には、源泉徴収口座の所得を含みません。
源泉徴収口座を選択したからといって確定申告が出来ないわけではありません。
他の金融商品取引業者等との取引で損益通算できる譲渡損があるとか、譲渡損失の繰越控除を受けるために確定申告した方がよい場合もあります。
前述したとおり、源泉徴収あり・なしの選択は、その年の最初の譲渡の時までにする必要があり、その年の途中では変更することができません。
ご自身の状況を確かめ、賢い選択をいたしましょう。

確定申告で気になる点があれば朝日税理士法人までご連絡ください。

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