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相続人に行方不明者がいる場合



相続人に行方不明者がいる場合、その方以外の相続人だけで分割協議はできません。

分割協議が相続人の方だけで出来ないケースとしてよく見かけるのが、不動産登記です。
不動産登記には期限がないため、何代も登記をしていない場合があります。
その当時の分割協議書がない場合、実際に名義変更しようとする場合には、そこまで遡って分割協議をしなければなりません。
詳しい内容は、以前書いた「相続手続きしなかったらどうなるの?~口約束は災いのもと~」で説明していますので、こちらもご覧下さい。

こういった不動産登記関して、今回このような相談が寄せられました。

先日父が亡くなりました。
父が住んでいた土地を相続しようとしたら、登記上の名義人は祖父となっていました。
祖父には父を含め6人の子供がいましたが、全員すでに亡くなっていました。
そこで、自分なりに調べたところ相続人は、私を含めて14人もいることが判明しました。
遺産分割協議を行いたいのですが、この相続人の中には行方不明の者が3人もいます。
行方不明の3人を除いて遺産分割協議を行うことはできますか?
出来ない場合はどのような手続きを取ればいいですか?

このままでは遺産分割協議はできません。
行方不明の状態で言うと

  1. 連絡先が分からず連絡が取れない
  2. 生きていると思うが、調べても住所・居所が分からない
  3. 7年以上 B の状態が続き、生きているかどうかも分からない

といった状態があると思います。
この状態によってするべきことが変わってきます。

連絡先が分からず連絡が取れない

この段階では、まず行方不明者の住所を特定します。
戸籍を追っていくと、行方不明者の現在の本籍地にたどりつけます。
本籍地の市区町村で発行している戸籍の附票という書類で、行方不明者の現住所が確認できます。
行方不明者の現住所が特定できたら、手紙を書いたり直接訪ねたりして可能な限り連絡を取り、遺産分割の交渉を進めます。

とりあえずは、行方不明者の戸籍を取り寄せないといけませんが、これを相続人の方が行おうと思うと結構大変なようです。
(第三者になってしまうので、請求することに正当な理由を証明しないといけないようです。)
このような事例で、戸籍の請求を権限で行えるのは、弁護士・司法書士・行政書士ぐらいでしょうか。
この為、実際の調査をする場合は、弁護士・司法書士に依頼されることが多いようです。

このような方法でも、住所が分からず連絡が取れない場合や、戸籍の附票から現住所が判明しない場合には、Bの段階に進みます。

調べても住所・居所が分からない

この段階までくるとできることは限られてきます。
この場合には、家庭裁判所に「不在者財産管理人選任」と「不在者財産管理人の権限外行為許可」の申立てをします。
家庭裁判所の許可を得て、この不在者財産管理人が行方不明者の代わりに遺産分割協議に参加することで、遺産分割ができます。

ただし家庭裁判所は、行方不明者に不利になるような遺産分割協議をさせないようにする為、遺産分割協議の内容をチェックします。
そして、実際に行方不明者に不利になるような遺産分割協議が行われた場合には、不在者財産管理人に遺産分割協議の権限を与えないので、結局、遺産分割協議が成立できません。

また、不在者財産管理人の候補者については、一般的には利害関係のない被相続人の親族を候補者として、そのまま選任されるケースが多いようです。
適当な候補者がいない場合は、 家庭裁判所が弁護士等の専門家を不在者財産管理人として選任するようです。

このBの期間が相当期間(普通失踪の場合は7年間)続くようであれば、次のCの段階に進むこともできます。

7年以上行方不明の状態が続き、生きているかどうかも分からない

この段階では、行方不明者を行方不明になった時から7年以上が経過していますので、家庭裁判所に失踪宣告を申立て、行方不明になった時から7年後に亡くなったものとみなしてもらうこともできます(普通失踪)。
この場合、行方不明者に子供がいればその子供が相続人となり、今回の遺産分割協議に参加しなければ遺産分割ができません(代襲相続)。
ただし、被相続人が亡くなった後に行方不明者が亡くなったとみなされた場合には、代襲相続は発生しません。

 

相続手続きを怠っていると、このような事態に陥ることは珍しくありません。
登記費用だけで済むと思っていたものが、司法書士・弁護士等に支払う報酬も必要となってくるので、ご注意ください。

朝日税理士法人は、相続税の申告だけでなく、弁護士・司法書士等と連携して相続手続きの全面的なサポートもしています。
相続に関してお困りのことがあれば、どんなことでも朝日税理士法人までお気軽にご相談ください。

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