電子帳簿保存法の改正でスマホやデジカメでの保存もOKに~前編~
電子帳簿保存法とは?
「電子帳簿保存法」という法律を皆さんご存知でしょうか?
多くの人には馴染みがない言葉だと思いますが、会社等で経理や事務を担当される方にとっては今後は知っておいたほうが良い法律だと思います。
会社等が作成・受領する国税関係帳簿(仕訳帳など)や書類(決算書類や領収書・請求書など)については、法人税法等の規定により法定保存期間の間は紙で保存することが義務付けられていますが、平成10年にこの電子帳簿保存法が施行され、国税関係帳簿書類の全部又は一部を電子データによる保存が特例として認められました。
この法律の一部が平成17年に改正され、紙媒体の書類をスキャナで電子化しての保存規定が追加されました。
しかし、契約書等をスキャナ保存する要件の中に「3万円未満のものに限る」っていうのが付いていました。
この金額要件が最大のネックとなり、平成17年から平成26年の間でスキャナ保存の申請は、たったの152件しか申請されていないようです。
この制度の使い勝手の悪さから、経団連等から継続的にスキャナ保存制度に係る規制緩和要望が出されていました。
この要望を踏まえ、国税庁は「平成27年度税制改正」において要件緩和を実施し、平成27年度税制改正では「3万円未満のものに限る」という金額要件等が撤廃されました。
さらに、「平成28年度税制改正」でも、スキャナ保存制度の更なる見直しが行われることになりました。
この改正の内容には後で触れるとして、その前にスキャナ保存の対象書類について軽く解説しておきます。
電子帳簿保存法によるスキャナ保存対象書類
国税関係帳簿書類には、スキャナ保存できる書類とできない書類が以下のように分かれます。
- スキャナ保存できる文書
契約書、領収書、預り証、借用証書、預金通帳、小切手、約束手形、有価証券受渡計算書、社債申込書、契約申込書、請求書、納品書等 - スキャナ保存できない文書
仕訳帳、総勘定元帳、帳簿関係書類全般、棚卸表、貸借対照表、損益計算書、決算関係書類全般等
よく間違えるポイントとして、「仕訳帳等の国税関係帳簿はスキャナ保存対象外」となっているが、一貫してデータで管理しているのであれば「電磁的記録による電子保存が可能」となっているという点です。
帳簿や決算関連文書は「スキャナ保存」の対象外であって、電磁的記録による保存が対象外となっているわけではないのです。
以下は国税関係帳簿書類の保存方法についてまとめた図になりますので、参考にしてください。
(出典:国税庁HP 電子帳簿保存法Q&A(平成28年9月30日以後の承認申請対応分)より)
長くなるので、中編につづきます。
次回は、平成27年税制改正後の電子帳簿保存法の内容を中心にみていきたいと思います。
Fujii