結婚・子育て資金の一括贈与と教育資金の一括贈与の相異(孫への贈与)
今回は、結婚・子育て資金の一括贈与の非課税と教育資金の一括贈与の非課税の相異について説明します。
結婚・子育て資金 | 教育資金 | |
贈与者(あげる側) | 直系尊属 父母・祖父母等からの贈与であること |
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受贈者(もらう側) | 直系卑属 20歳以上50歳未満の子・孫等(注1) |
直系卑属 30歳未満の子・孫等(注1) |
手続き | 取り扱いをしている金融機関等で行います。 | |
限度額(受贈者1人当たり) | 1000万円まで | 1500万円まで |
使用範囲 | 結婚・子育て資金に係るもの | 教育資金に係るもの |
途中で贈与者が死亡した場合の残額(注2) | 相続税の対象になる(注3) | 相続税の対象にならない |
(注1)結婚・子育て資金の一括贈与については、結婚・子育て資金管理契約を「締結する日」において、教育資金の一括贈与については教育資金管理契約を「締結する日」においての年齢要件であります。
(注2)それぞれの資金管理契約が終了する前(資金を使い切る前等に)に贈与者が死亡した場合の資金の残額の取り扱い
(注3)祖父母が死亡した場合、孫は相続以外の者であるため、孫(代襲相続人を除く)が祖父母より取得した財産については、相続税の2割加算の対象になりますが、結婚・子育て資金の残額分については、相続税の2割加算の対象になりません。
また、祖父母の死亡以前に結婚・子育て資金として使われた資金は相続開始前3年以内の生前贈与加算の対象になりません(暦年贈与課税を適用した場合の贈与部分については生前贈与加算の対象になります。)し、相続後の残額については、使用範囲の制限(教育資金については、贈与者が死亡した後においても教育資金としての使用範囲の制限があります。)がなくなります。
そういう意味においては、孫に自由に使える財産を残したい場合には、遺言書で孫にを残すよりは、結婚・子育て資金の一括贈与で残した方が節税なります。
孫(代襲相続人を除く)への財産の残し方 | 遺言(遺贈) | 結婚・子育て資金 | 教育資金 |
相続税の2割加算 | 対象 | 結婚・子育て資金部分は対象外 | - |
生前贈与加算 | 対象 | 結婚・子育て資金部分は対象外 | - |
贈与者(遺贈者)死亡後の財産の使い方 | 制限なし | 制限なし | 教育資金として使用 |
と書きましたが、一括贈与であるため、孫やその親(子)がそのありがたみを認識してくれるかどうかわかりません。
そういう意味ではその都度、暦年課税の贈与をしていく方が、その都度、ありがたみを認識してもらい方が良いかもしれません。