決算書から見えるもの ~返済能力~
会社の借金の返済能力を判定する指標として、『債務償還年数』というものがあることをご存知でしょうか。これを式で表すと
債務償還年数 = 要償還債務 / 営業キャッシュ・フロー
となります。
簡単に言うと、「今の借金を何年で返せるか」というものです。会社にお金を貸し出している金融機関などが重要視する指標のひとつとなっています。
銀行などが判断基準としている償還年数の目安は、大体以下の通りです。
ここで区別している正常先、要注意先、破綻懸念先の説明は、前のブログを参考にしてください。
一般事業会社では、競争環境の変化や技術革新、流行の移り変わりなどの影響を受けやすく、安定したキャッシュ・フローを得られる期間はせいぜい10年程度とみられています。
一方、不動産賃貸業や倉庫業などは、長期的に安定したキャッシュ・フローが見込めることから、上記の表とは別に25年や30年といった年数が用いられます。
年数を計算するための要素は、以下の式で求められます。
要償還債務 = 借入金等 - 正常運転資金 -余剰資金 - 売却可能資産の処分見込額
借入金等には借入金だけでなく、預かり保証金や未払金を含みます。
正常運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 - 仕入債務
なお、「正常運転資金」とありますが、売上債権や棚卸資産の資産価値が帳簿価額通りにあるのかがポイントになります。
例えば売掛金に回収不能なものがはいっていれば、その金額は控除されることになります。
棚卸資産についても業種の平均と比較して過剰な在庫水準となっていればその過剰な分を控除したうえで運転資金が算出されることになります。
売却可能資産の処分可能見込額は、例えば売っても取引上問題のない上場有価証券がイメージしやすいと思います。
営業キャッシュ・フロー = 当期損益 + 減価償却費等の非資金項目
償還年数を計算するときの営業キャッシュ・フローは、過去2期の平均を用いるのが一般的です。