退職金を受け取ったとき
退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当などの所得をいいます。
次のようなものも退職所得に該当するものや、退職所得とみなされるものです。
・社会保険制度などにより退職に基因して支給される一時金
・適格退職年金契約に基づいて生命保険会社又は信託会社から受ける退職一時金など
・労働基準法第20条の規定により支払われる解雇予告手当や賃金の支払の確保等に関する法律第7条の規定により退職した労働者が弁済を受ける未払賃金
退職所得は、原則として他の所得と分離して所得税額を計算します。しかし、支払いの際に源泉徴収されたことで完結する場合があり、その場合は確定申告の必要はありません。
退職手当等に対する源泉徴収のしかたは、退職する人から「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合と受けていない場合とで異なります。
◆退職金等の支払の際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している人
退職金等の支払者が所得税額及び復興特別所得税額を計算し、その退職手当等の支払の際、退職所得の金額に応じた所得税等の額が源泉徴収されるため、原則として確定申告は必要ありません。
◆「退職所得の受給に関する申告書」の提出がなかった人
退職金等の支払金額の20.42%の所得税額及び復興特別所得税額が源泉徴収されますが、受給者本人が確定申告を行うことにより所得税額及び復興特別所得税額の精算をします。
※平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に支払を受ける退職手当等については、所得税とともに復興特別所得税が源泉徴収されます。
①退職所得の計算
退職所得の金額は、原則として、次のように計算します。
(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額
確定給付企業年金規約に基づいて支給される退職一時金などで、従業員自身が負担した保険料又は掛金がある場合には、その支給額から従業員が負担した保険料又は掛金の金額を差し引いた残額を退職所得の収入金額とします。
※注意 役員等としての勤続年数が5年以下の者が支払を受ける役員等としての勤続年数に対応する退職手当等(特定役員退職手当等)については、支給額から退職所得控除額を控除した残額(1,000円未満の端数は切り捨てます。)が課税退職所得金額となり、2分の1とすることはありません。
【退職所得控除額】
勤続年数 | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円×勤続年数 |
20年超 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
1 、勤続年数が10年3ヶ月の人の場合の退職所得控除額
端数の3ヶ月は1年に切上げて、勤続年数は11年になります。
(※勤続年数とは、原則として、退職手当等の支払者の下で退職の日まで引き続き勤務した期間(以下「勤続期間」といいます。)の年数(勤続期間に1年に満たない端数があるときは1年に切り上げます。)です。なお、支払者の下で勤務した期間には、支払者が相続人である場合の被相続人、支払者が合併法人である場合の被合併法人又は支払者が分割承継法人である場合の分割法人の下で勤務した期間を含みます。)
40万円×(勤続年数)=40万円×11年=440万円
2、 勤続年数が30年の人の場合の退職所得控除額
800万円+70万円×(勤続年数-20年)=800万円+70万円×10年=1,500万円
②退職所得の源泉徴収税額
(先に述べた、退職所得の受給に関する申告書を提出している場合)
課税退職所得金額(千円未満の端数金額を切り捨てた後の金額)から源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の額は、速算表を使用すると簡単に求められます。
国税庁ホームページの速算表 事例もご確認下さい。
退職所得の源泉徴収税額
退職金を受け取ったとき(退職所得) 国税庁ホームページ
当法人の過去ブログもご参考になさって下さい。
同じ年に2か所以上から退職手当等が支払われるケースもあると思いますが、また別にとりあげたいと思います。
税金のことでご相談がございましたら、朝日税理士法人までお気軽にご連絡下さい。
yama