法人成りの場合の資産の引継価額 - 

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法人成りの場合の資産の引継価額



個人事業を廃業して法人を設立した場合には、個人事業当時の資産・負債を現物出資する、または法人設立後に譲渡するなどして、その法人に引き継ぐことがありますが、その場合、引き継ぐ資産の評価はどのようにするか、という問題があります。

資産を現物出資する場合も、法人設立後に譲渡する場合も、それは個人事業主と法人との取引にほかなりません。
固定資産などの売買取引は、時価によって行われるのが普通ですから、個人事業主が法人に資産を譲渡した場合であっても、譲渡価額が時価よりも高い場合は、その高い部分について、事業主は法人から贈与を受けたことになり、また譲渡価額が時価より低い場合は、その価額から時価までの部分については、事業主が法人へ贈与したということになります。

このような場合における税法上の取り扱いはどのようになるのでしょうか。
事業主に対しては、時価の1/2未満の低額で資産の譲渡をした場合、時価により譲渡があったものとみなして譲渡所得の申告が必要になります。

例えば、割増償却(租税特別措置法の規定により、通常の減価償却の限度額以上を減価償却費として計上すること)を適用した建物を未償却残高(帳簿価額)で法人に引継ぎますと「低額譲渡」の規定が適用される場合があります。
また、譲渡価額が1/2未満にならなくても、設立した法人が同族会社の場合(ほとんどの法人成りはこれに該当)は、時価より低額で譲渡し結果的に所得税の負担が不当に減少するような場合には、その行為計算は税法上否認されて、時価により課税されることもあります。

一方、法人税法においても、時価より不当に高額で購入した固定資産については、その購入価額のうち時価を超える部分の金額は、実質的に贈与をしたこととなり、その購入価額から控除しなければならないものとされています。
また、法人が時価より低い価額で引継ぎを受けると、譲渡価額から時価までの部分は、その法人が贈与を受けたこととなり益金に算入されます。
上記のような理由から、固定資産を法人に引き継ぐ価額は、通常の時価を基準とすることが望ましいと言えます。

では商品についてはどうでしょうか。
商品などの棚卸資産については、他の固定資産とは区別されています。
低額で販売したり贈与した場合には、通常他に販売する価額(売価)で総収入金額に計上しなければなりませんが、その「通常他に販売する価額」の70%相当額以上で譲渡した場合には、その価額での計上が認められており、「著しく低い価額の対価による譲渡」の規定は適用されないことになっています。

一括償却資産の場合
一括償却とは、取得価額が20万円未満の資産に適用できる制度で、3年間にわたって均等償却する方法です。
この一括償却資産は、3年が経過しないうちに滅失等した場合であっても、3年間は1/3ずつ必要経費に算入します。
手元になくなっても除却損は計上できません。

一括償却資産につき相続があった場合には、一括償却資産の取得価額のうち必要経費に算入されていない部分については、原則として死亡した日の属する年分の事業所得等の必要経費に算入することとし、例外的に死亡した日の属する年の翌年以後の各年分に対応する部分については、相続により業務を承継した者の必要経費に算入することとしても差し支えないものとされています。
法人成りの場合には、事業が廃止され、その事業を承継する人もいませんので、一括償却資産の取得価額のうち必要経費に算入されていない部分は、全て廃業した日の属する年分の事業所得の必要経費に算入することになります。

法人成り後に生じた不動産所得に対する青色申告の効力
個人事業を廃業して法人を設立し、今まで使っていた不動産を法人に貸し付け家賃を受け取るとします。

個人事業の時の青色申告は、この家賃(不動産所得)についても有効なのでしょうか。
青色申告の承認を受けていた所得に係る業務をすべて廃止等した場合には、その青色申告の承認の効力はその年限りで失われることとなっています。
しかし、業務の廃止等によって、青色申告の承認が失効する時点は、その廃止した日ではなく、その廃止した年の翌年からとされていますから、
廃止した年の12月31日までは、青色申告の承認の効力は続いていることになります。

そして青色申告の承認の効力は、既に不動産所得、事業所得、山林所得のいずれかひとつの所得について青色申告の承認を受けているときに、これとは別の所得を生ずる業務の開始があった場合には、その所得にも及ぶことになります。
なので事業を廃止し、同年中に不動産所得を生ずる業務を開始した場合には、改めて不動産所得について青色申告の承認の申請をする必要はありません。
しかし、廃止等のあった年の翌年になって、新たに青色申告のできる所得を生ずる業務の開始があったときは、改めて青色申告の承認の申請をする必要があります。

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