空き家に係る譲渡所得の3000万円特別控除の改正(案)



平成30年12月14日に公表された与党の平成31年度税制改正大綱において、空き家の発生を抑制するための特例措置の拡充・延長措置案が明記されました。
制度の概要

相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、一人暮らしをしていた被相続人から自宅(空き家)を相続により取得した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む。)又は取壊し後の土地を譲渡した場合で、一定の要件に当てはまるときは、当該家屋又は土地の譲渡所得から3000万円を特別控除するというものです。
居住用家屋の対象の拡充

従来この特例は、被相続人が相続発生直前まで自宅に住んでいなければ適用を受けることが出来ませんでした。
つまり、仮に介護などの理由から被相続人が老人ホーム等に入所したことにより、被相続人の居住用不動産が相続開始直前において空き家となっていた場合等では、改正前では居住要件を満たさず、売却時にこの特別控除の特例を受けることが出来ませんでした。

しかし、今回の改正案により、被相続人が老人ホームに入居した状態で相続が発生したとしても以下の(1)及び(2)の要件を満たす場合に限り、相続開始直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして、売却時に空き家の譲渡所得の特別控除の特例を受けることが可能となりました。

被相続人が介護保険法に規定する要介護認定等を受け、かつ、相続の開始の直前まで老人ホーム等に入所をしていたこと。
被相続人が老人ホーム等に入所をした時から相続の開始の直前まで、その家屋について、その者による一定の使用がなされ、かつ、事業の用、貸付けの用又はその者以外の者の居住の用に供されていたことがないこと。

適用期間の延長

この特例の適用期間が、4年間(平成32年(2020年)1月1日から平成35年(2023年)12月31日まで)延長されました。
今後の留意点

空き家に係る譲渡所得の特別控除が拡充・延長されますが、

空き家となった家屋についての被相続人による「一定の使用」の具体的な内容がどのようなものになるか
老人ホーム等に入所してから相続開始直前までの間に、事業の用、貸付けの用又は被相続人以外の者の居住の用に供されていないことの証明はどのように行うのか

といったことは明確になっていませんので、今後の関連法令等の改正に留意する必要があります。
最後に

空き家の維持管理は、その空き家を相続した方にとって負担となる可能性が高いと思います。
ですので、空き家となる可能性が高い家屋をお持ちの場合には、そうなる前に家族で話し合いなどして、「空き家にしない為の対策」や「空き家になった場合の対策」を考えておくことが重要になってくると思います。

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